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【シンジャ】七海の覇王に愛されて【6月東京シティサンプル】

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 自分の台詞を聞き更に彼は不機嫌な様子へとなっているだろう。そんな必用など無い。不機嫌になっているだろうシンドバッドに対してそう思ったのは、自分が唇を重ねた事がある相手はシンドバッドだけであったからだ。
 彼と唇を重ねたのは一度だけの事では無い。
 何度か彼と唇を重ねた事があった。
 その事を彼が覚えていないのは、酔っていたからだ。彼と唇を重ねたのは、酔った彼の介抱をしていた時や、酔った彼に絡まれた時ばかりであった。二十五にもなって、酔った彼から唇を奪われてしまった以外に唇を誰かと重ねた事が無いのは、多忙な日々を送っておりそんな事をする時間が無かったからだけでは無い。
 何の特徴も無い。敢えて言うのならば、実年齢よりも若く相手に見られてしまう原因であるそばかすぐらいしか特徴の無い、自分と恋愛をしたいと思う相手がいるとは思えなかったからという理由もある。低い鼻もそんな鼻の上にあるそばかすも、明るさの欠片すらも無い黒い双眸も好きでは無い。そんな自分の何が良くて、彼は自分に好きだという事を言って来るのかという事が分からない。

(本編に続く)