【シンジャ】FLOWER TAIL【6月東京シティサンプル】
誰がここにいるのかという事が一層気になり誰がいるのかという事を知ろうとしたのだが、淫靡な熱にそれを邪魔されてしまう。
(……くそ)
心の中で自分に対して罵声を吐いていると、客席からこちらへと向かって声が聞こえて来る。
「もう競りを開始するのか?」
「いえ、今回はまだ開始しません。彼の姿をご覧になれば分かると思いますが、先程彼に強力な媚薬を飲ませています。丸一日ほど効果が持続するものです。――いつもは人を見下したような態度の彼がどんな風に乱れるのかという事を知って貰ってから、競りは開始したいと思います」
「面白い余興だな」
「そうだな」
客に対して組織の主が言った台詞を聞き危機感を覚えていると、そんな声が客席から聞こえて来た。
客達にとって自分は見せ物であるのだ。自分を見せ物扱いした組織の主にも客にも怒りが込み上げて来たのだが、その感情は長くは続かなかった。
(本編に続く)
作品名:【シンジャ】FLOWER TAIL【6月東京シティサンプル】 作家名:蜂巣さくら