福引
「行くぜ! 旅行ッ! 待ってろよ沖縄!!」
時任が旅行の券が入った封筒を誇らしげに掲げてみせる帰り道。
それを握る拳が夕陽の光でまぶしく輝いている。
その後方では桂木と久保田の『暴力沙汰ァッ?』『まァ相手が悪いんだし?』という会話が繰り広げられている。
そのさらに後ろをトボトボと荷物を下げて歩く藤原は小さく『僕も行きたいです……』と呟いていた。
久保田の話を聞いて頭を抱えていた桂木がため息を吐いて気を取り直して言う。
「その前にひとり分カンパしなきゃいけないからみんな働くわよッ!」
「おうっ!」
「だぁね」
「僕の分はーッ!?」
袋をガサガサといわせながら歩く4人はそれなりに楽しそうに見えた。
(おしまい)