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言えなかった言葉

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「まだ、式典やってるんだろ、戻れよ。」
アルフレッドの頬に口付けながら、少し残念そうにアーサーが笑う。
「けど……、君をほっとけないよ。」
寂しそうに笑うと、アルフレッドもアーサーの頬に口付ける。
「ここで休んでれば、大丈夫だから。
 ハワードにも連絡してあるしな。」
額に口付けながら、アーサーが言うと、しぶしぶアルフレッドは頷く。
「何かあったら、連絡してくれよ?
 式典の真っ最中だから迷惑かけるとか、そんなこと考えちゃ駄目なんだからね?」
ふくれっつらのアルフレッドがそういうと、アーサーは笑った。
「わかった、わかった。」
笑ったアーサーの顔にアルフレッドの顔が近づく。
其の刹那、二人の間に、黄色い物体が飛び交う。
「あ、小鳥……、まだいたのか。」
邪魔をされたアルフレッドは、更に膨れた。
「なんだい、小鳥、邪魔しないでくれよ。」
そう言われた小鳥は、アルフレッドの後ろに回り、後ろ髪をくちばしで引っ張る。
「早く戻れって言ってるぞ。」
くくくと笑ったアーサーに、残念そうな顔のアルフレッド。
「もう、行くってば!!」
しぶしぶ立ち上がったアルフレッドに満足したのか、アーサーの肩に小鳥が止まった。
笑い続けるアーサーの髪をアルフレッドは撫でる。
「小鳥もいるし、寂しくないね。」
そう自分で言って、少し残念そうなアルフレッドを見てアーサーは更に笑う。
「小鳥だけじゃ、さみしくなっちまうかもしれねぇから、式典早く終わらせて戻って来いよ。
 べ……別に、かもっていう仮定の話だからなっ!!」
はいはいと軽く受け流して、アルフレッドはアーサーに軽く口付けると、満足したかのような顔を浮かべて、小鳥に笑う。
あっけに取られたアーサーを笑いながら、アルフレッドはそのまま部屋の入り口に向かう。
「小鳥、アーサーのこと頼むよ。
 君の飼い主より、君のが安全だからね。」
アーサーからしたら意味が分からない話をすると、小鳥はぴーと鳴いて頷いた。
それにわけもわからないアーサーは、小鳥をなでる。
アルフレッドは、それに軽く笑うと、部屋を出た。
ドアを閉め、立ち止まったアルフレッドは、ぎらっとした目で、会場側を見つめる。
「さぁ、ギルベルト、覚悟は出来てるんだろうね。」
一人呟きながら、会場へと向かう。
そんな中、ギルベルトは、アルフレッドがいる場所から遠く離れた会場で一人、悪寒が走って辺りを見回し、アントーニョにからかわれていた。


会場に戻ったアルフレッドは、ギルベルトを見つけると、睨みつける。
それに気づいた菊が事情を説明すると、アントーニョと、フランシス、ギルベルトはたまたま近くにいたルートヴィッヒにしこたま怒られ、後日元気になったアーサーにも怒られたのはまた別の話。

誤解は解けたものの、ギルベルトの[別に面倒見るのは嫌じゃなかったぜ]発言が元で、当分の間、ギルベルトとアルフレッドの仲は微妙なままかもしれないが。



「よかったですね、アルフレッドさん。
 アーサーさんが来て下さって。」
嬉しそうに菊が聞くと、アルフレッドはそれ以上に嬉しそうに笑う。
「しばらくは、あの花言葉の意味、言わないでおこうとおもって。
 元気になってからのがたのしそうだしね。」
そう悪戯する子供みたいに笑うアルフレッドを見て、菊が含み笑いをする。
「惚気ですか……。
 反応したときの様子の報告、待っていますね。」
それに頷いたアルフレッドだが、菊はネタが舞い込んだとしか思っていないのは知る由もない。


そして、幾日がすぎたころ、元気になったアーサーの怒号と、アルフレットがそれから逃げるようにからかう姿が会議で見られるようになり、一部の人間は除き、安心した枢軸と連合メンバーだった。


end




蒼いバラの花言葉:神の祝福
紅いバラの花言葉:死ぬほど恋焦がれています
枯れた白いバラの花言葉:生涯を誓う
作品名:言えなかった言葉 作家名:狐崎 樹音