なんやかんやで
「…やっべ!」
ああもうどうして俺ってこうなんだろ。
周りの乗客もさー、声掛けたりとかさーないの?
まーた遅刻だよ。はーぁ。
「あっれ赤也じゃん」
「丸井先輩…」
何とか学校に辿り着くと、朝からすげー色のフーセンガムを膨らましてる、一応俺の先輩がのんびり歩いてた。
この人もたまに遅刻してくるんだよな。
そんなんじゃ後輩の俺に示しがつかないじゃん。まったく。
「うぉ、正門閉まってら。裏回るべ」
「うっす。ていうか慣れてますね」
「まあね」
いや誉めてないから。
何得意になってんスか。
真っ赤な髪した、少し背の低い丸井先輩。
そりゃテニスしてる時はちょっとかっこよく見えるけど(ちょっとね、ちょっと!)、他の先輩がやけに大人っぽいせいか、この人だけ、良く言えば「親近感がある」。
ストレートに言っちゃうと「"先輩"って気がしない」。
だって俺明らかガキ扱いされてるけど、この人だけ喋りやすい色んな意味で。
「あーあ赤也のせいで遅刻ー」
「俺ッスか!!」
しかも自己中だし!なんなの!