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いつだって二人がいい

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突然後ろから抱きしめられて、心臓が飛び跳ねた。



「な、ななな、なんですか?」
「え?何が?」
狼狽える僕とは正反対に、抱きついた臨也さんは涼しい声でとぼける。
「何って…。」
「ああ、抱きつきたいから抱きついてみたんだ。」

答えにならない答えに、僕は脱力した。

「ホラ、ひと肌が恋しくなるときって、ない?」
「ぅ、わ。」
首筋に顔を押しつけて、そこでしゃべられると背筋がゾクッとする。
「…色気のない声出すね、萎えるなぁ。」
そういいながら股間を人の尻にになすりつけるのは勘弁してほしい。

「も、はなしてくださっ、…っくぅ。」
臨也さんが全体重を僕に預ける。
いくら臨也さんが軽いとはいえ、リーチに差がある。
おぶられるように、そんな上から重さをかけられたら立っていられない。
「ちょっ、たお、倒れるっ、」
「うん。」

切羽詰まった僕の体がグラリと傾くのと、耳元で臨也さんが楽しげに頷くのは同時だった。


どさっ、と床に倒れた。
顔面はどうにか防いだけど、代わりについた手は思い切り擦ってしまった。
「痛いです、」
恨みを込めて言うと、「ごめんね。」と臨也さんはあっさりと謝罪した。

「君の後ろ姿、嫌いなんだ。」

突然後頭部のほうからつぶやかれた言葉に、僕はいぶかしげに眉をひそめる。
臨也さんには見えてないだろうけど。

「いつか俺を置いてくでしょ、帝人くんは。」
「はい?」
「そうやって、迷いのない後ろ姿を俺に見せて、」

「きっと君は、行ってしまう。」



ぎゅっと腕に力が込められていくのがわかる。

馬鹿だな、臨也さんは。
頭は良いくせに何もわかってない。
僕のことを知りたがるくせに肝心なことは知らない。


言ってなんかあげない。

いつだって振り回されるのは、僕のほうだって。


(僕が迷いのない姿で立てるのは、いつだって貴方が後ろにいてくれると信じてるから)



作品名:いつだって二人がいい 作家名:阿古屋珠