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葉月しおん
葉月しおん
novelistID. 28858
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序章・英雄、ミッドチルダに降臨す 1

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0.天下分け目に起きた出来事



 場所は天下分け目の関ヶ原。ほぼ互角の戦力で金属と金属が鳴り合う激しい音。銃声、兵士の声が戦場に響き渡る。兵士や武将は戦場の中央や最前線で対立し、斬ったり斬られたりの血祭り状態である。
 徳川家の家紋である三つ葉葵の旗を掲げているのは徳川家康率いる東軍、大一大万大吉の旗を掲げているのは石田三成率いる西軍だ。また、大筒の音も関ヶ原の中央にて轟く。
 一方、本陣では驚くほどに静かで、兵士や武将の声や銃声、大筒などの轟音は一切なかった。
 立っている向い合う二人の男だが、その空気は殺気を漂わせている。一人の男は逆立った黒髪に袖なしでフード付きの黄色い上着、下半身は黄色のズボンに赤い腰紐を提げている。顔立ちは幼さはあるものの精悍で、たくましい筋肉と腹筋を持つ彼は徳川家康で、徳川軍及び東軍の総大将だ。
 武器は持たず、両手に付けている篭手のみである。
 もう一人の男は銀髪で鼻まで届く長い前髪が特徴で、白と黒を基調とした鎧を身に付け、胸には家紋である大一大万大吉と刻まれている。顔立ちは眉が釣り上がっていて鋭い眼光、凛としているが、狂気と悲哀に満ちている。体つきは家康と対照的で華奢である。彼は石田三成で、石田軍及び西軍総大将だ。
 武器は鍔が二つ付いている刀。
 静寂だが、緊迫とした空気が漂う。三成は怒りや憎しみに染まった表情で家康に向けて刀を出した。

「どんな強固な軍を築いてもどんな綺麗事を嘯いても私は……この目で見ている……。家康……貴様の罪を!」
「三成……」

 怒りや憎しみに染まり、刀を強く握り締めて怨敵である家康に向けて、三成は強く言い放つ。その目は憎悪や狂気に満ちていて、元々鋭い眼光は更に鋭さを増していた。その狂気に満ちた目で睨みつけると、家康は三成を哀れむ目で見つめた。

「さあ、秀吉様に頭(こうべ)を垂れろ! 許しを望んで希(こいねが)え! そして、首をはねられろ!」

 三成が口に出した敬愛する君主――豊臣秀吉の名前。
 秀吉は家康の反逆によって倒され、それが三成が豹変する引き金になってしまった。
 亡き秀吉に許しを請え、そして殺されろと三成は言うが、家康は辛そうな顔を浮かべながらそれはできないと否定する。

「ワシにそのつもりはない」

 家康の言葉に対して三成は更に怒りや憎悪に染まり、強い口調で言う。

「貴様は昔からそういう奴だった……。己の野望を『夢』という言葉を飾り立て、秀吉様の天下を穢したのだ!」

 家康もまた西軍との戦いを避けられないことも知っているし、三成に恨まれることも覚悟をしていた。
 哀れむ目から強い眼差しに変わり、決意をして強い口調で言いながら右手を挙げ、篭手を金色に光らせる。

「それがワシの決意だ! 三成、お前にも秀吉にも天下は譲らない!」
「貴様はそれで満足だろうな! だが! 私は貴様に全ての絆を奪われた!」

 家康は満足だろうが、三成は家康に何もかも絆を奪われ、半分以上心が崩壊した。今にも泣きそうな声で一体どうすればいいのかと叫んだ。

「どうやって生きたらいい!? どうしたらよかったんだぁ!?」

 三成の悲痛な叫びに家康は痛感し、辛そうな表情をしながら拳を強く握り締め、戦闘態勢に入る。三成も体から紫色のオーラを放ち、刀を構えながら、憎悪を含んで言葉を紡いだ。

「屈するものか……貴様にだけは決して……。たった一人になろうとも死にゆくその寸前まで、貴様を許さない!!」

 三成の叫び声と共に地面を蹴って走り出し、家康もまた三成に向かって走り出す。それが因縁の対決に雌雄を決する合図だった。
 両者が互いに刀と拳が交えたその時だった――
 突然の光が二人を包み込む。

「な……何だ!?」
「これは一体……!?」