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永遠に失われしもの 第17章

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・・喩えこの身を悪魔に売ったって、
 必ずやお嬢様のために、あの方を・・
 お探ししてみせます・・

 もし本当にお亡くなりであったとしても
 この身を捧げても、あの方を必ず、
 黄泉の国から引き戻しましょう・・




「フフ・・めんどくさいから、
 シネマティックレコードごと、
 持って来ちゃった・・

 アア、アナタが借りた事になってるから、
 上手く口裏合わせ、オネガイね~~」



 葬儀屋の黒いローブに包まれた肩に、
 しなだれかかって、グレルが頼み込むと、
 葬儀屋はへらへらと笑いながら、
 その赤く長い髪の毛先をくるくると、
 自分の長い黒い爪に巻きつけ遊び始めた。

 グレルは鞄から本を出し、
 セバスチャンに渡す。

 

 喪服の黒いドレスを纏った少女が、
 寝台に座り泣いている。
 頭の両脇高くで、
 黒いリボンによって結ばれた、
 溢れんばかりの金髪の巻き毛が
 揺れている。

 金髪の少女の小さな手をとって、
 両手で包み込む。
 涙で濡れたその小さな手を。


 少女は泣き腫らして、
 縁まで赤くなった大きな眼で、
 懸命に訴える。


「シエルは、絶対生きてるの!
 どこかで・・きっと」



 何と声をかけていいのか、分からない。
 ただその可愛いいあどけない顔に浮かぶ、
 時に皆を困らせたほどの笑顔が、
 もう一度だけ・・見たかった。



 少女は、主を失ったファントムハイブ伯爵家から譲り受けた、
 シエルの指輪を愛おしそうに撫で続ける。

 そう、彼女の元婚約者だったシエルの瞳と
 同じ色のダイヤの入った指輪を。


 時が経てば、じきに少女の悲しみは、
 収まるかと初めのうちは、思えた。

 でも彼女の悲しみは、少しも減ることなく
 このまま永遠に泣き暮らすのではないかと
 最近は、考えてしまう。

 それは、少女が決して、
 シエル・ファントムハイブ伯爵の死を、
 認めなかったので・・


 時々不思議なことを言うようになった。

 最後にシエルとダンスをしたとき、
 今思えば、
 彼なりの少女への別れの言葉だったのかもしれないが、
 そのときに、シエルの瞳は赤くなったと、
 少女は時々思い返して言うようになった。

 泣き腫らすようにではなく、まるで
 宝石のように明るい、
 でも見知らぬ人の赤い瞳を見たと・・


 少女は、自分の婚約者が、
 自分の元にいられない事情ができて、
 死を装って、
 どこかで暮らしていると信じていた。
 
 周囲がどんなに彼は死んだのだと、
 何度言い聞かせても。
 少女の両親も兄もみな、慰めようがなく、
 ただ、ただ心配していた。


 少年の死については、
 彼の執事と旅立った後の訃報のみで
 なにも詳しい死の様子を知らせてもらえなかったことも、
 より彼女の疑惑を確信に近づけた。

 誰にきいても、何の事情もわからない内に
 少女は、シエルの身に昔あったような、
 取り返しのつかない悲劇が起きつつあって
 そのせいで、自分から隠れているのだと
 より頑固に思うようになった。

 そしてあの時見た眼も、
 何かそれに関係があると、
 何度も私に訴えかけた。


 少女の求めにしたがって、
 あらゆる手段を尽くしてはみた。

 少年と執事を乗せた馬車は南下していた。
 方向と降りた場所からして、
 ヨーロッパ大陸へ向かっていたのだろう。
 でも、乗船記録は残されていなかった。


 ほぼ何ひとつ生きている証拠を見出せぬまま、少女は段々と交霊術師を頼りとするようになった。
 
 ロンドンの怪しげな界隈に開かれた、彼女の店の奥で開かれる交霊術会に、
 毎日自分の代わりに行って、冥府に旅立ったものに、シエルを見たか尋ねてくれと。

 霊が憑依したと言われた者たちは、皆
 そのような者はあちらの世界では、
 見ていないと答えた。


 毎晩の報告ごとに、少女は安堵し、
 さらなる生存の期待を持ち、
 同時に、何故自分から離れて、
 いってしまったのかと嘆く。