Distorted Love
Distorted Love 1 ―帝人Side―
「帝人君……別れようか。」
やっぱり僕なんかじゃこの人を満足させることは出来なかったのか…。
いろんなものが込み上げてきだが、今の僕ではそれを言葉にすることもままならない。
でも本当は泣き出したかった。醜く泣いて、すがって、何だってするから僕を見捨てないで、と言えたらどんなに楽になるだろうか。
だけど僕は別れを告げられている今でさえこの人に嫌われたくなかった。
「……そうですか。分かりました。」
嘘だ。何も分かってなどいない。………何一つ分かっちゃない。
「じゃあ、それだけだから。」
臨也さんは僕に一瞥もせず去って行く。臨也さんは最後まで僕を瞳の中に写してはくれなかった。
霞んでいく視界で臨也さんの後ろ姿を目に焼き付ける。今までのことを思い出しながら……。
「…好きです。今でもどうしようもないほど。」
―――…涙が頬をつたう。
小さな声で言った僕の気持ちは彼に届いただろうか。
それから臨也さんが池袋に来ることはなかった。
作品名:Distorted Love 作家名:ゴルベーザ