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~新一side~






俺の名前は工藤新一。
あいつの名前は…KID。

あいつって誰かって?


あいつは俺の・・・・・・・・恋人。





俺がとある事情で体が縮んだ時、いつもさりげなく救ってくれていた。
組織を潰した時、あいつが居たから生き延びた。
ライバルだと思っていたのに、
いつの間にかあいつのポジションは相棒に近くなっていた。
探偵と泥棒が相棒なんてありえねーけど、俺たちは誰よりもお互いを信頼し合っていた。

その気持ちに変化があったのは随分前で、それが恋だと気づいたのは少し前、
そして二人の関係が相棒から恋人になったのは最近の話。
ただ、人間は欲深い生き物で自分のものになったと思うとすべてを知りだがる。

好きな食べものは?
嫌いな食べものは?
好きな音楽は?
好きな本は?
暇なときは何をする?
今、何を考えてる?

そんな質問ばかりが頭を巡る。
簡単に推理出来ることだけど、
俺が好きになったやつは…俺の恋人は正体不明の怪盗KID。
俺は夜のあいつしか知らない。
純白の衣装に身を包み華麗に夜を舞うあいつしか俺は知らない。

でも、俺はこのままでいいと思ってる。
なぜなら俺がKIDの正体を知るときは俺たちの関係が終わるとき。
だって俺は探偵だから。
だから俺は知らなくていい。

名前も知らない。
素顔も知らない。
いつも話してる声が本当の声かもわからない。



どんなに欲望が湧き上がってきたとしても、決して覗いてはいけない。
離れたくないのなら――





「おはよ新一。」

「よぉ。」

俺は高校を無事卒業して、大学に進んだ。
そして気の合う親友も出来た。
それが今話しかけてきたコイツ、黒羽快斗。

初めてコイツが話しかけてきたその日に随分と仲良くなった。
夜は一緒に食事したり、俺にしては珍しいことだった。

今では、大学に居る間だけじゃなく休みの日も一緒に過ごしている。
コイツが俺の家にしょっちゅう泊まりに来るのが原因だが。
でも、俺はそれが結構嬉しく感じてる部分があった。
決して身代わりなんては思ってはいないが、KIDには予告状が出た日にしか会えない。
その寂しさを黒羽が埋めてくれていた。それは紛れもない事実。
だが、だからといって黒羽に特別な感情があるわけではない。
黒羽との関係は親友だ。


「ほれ、弁当v」

「さんきゅ。」

「今日はオムライスだぞ。」

「たまには、さ――」

「新一君、お弁当作ってあげてるのはだーれだ。」

「冗談だよ。」


コイツと居るときは素で居られる。でも、秘密にしていることがある。
それは俺とKIDが恋人だということ。
不思議と黒羽とは恋愛系の話をしないから言わない…言えないでいる。
もし、恋人は居るのか?と聞かれたら何て言ったらいいのだろう…
黒羽になら話してもいいかなっていうのが正直な気持ちだった。
聞くべきときは聞いて、聞かなくてもいいことは聞かない。
黙っててほしいことは絶対に誰にも言ったりしない。
黒羽は信用できる奴だから。

でも、俺は心の奥で探偵のくせに泥棒と恋人なんて、
男同士で恋人なんて…と軽蔑されたらどうしようと不安に思っていた。
きっと黒羽はそんなこと気にしないと思いつつ、その不安を拭えないでいた。

俺は黒羽には嫌われたくなかった。
失いたくない存在だった。


でもこの話をするのはまだまだ先のことだろうと思っていた――
だが、まさかこの日の夜に聞かれるなんて…



「新一って恋人居るの?」





作品名:complete 作家名:おこた