complete
~ending~
「新一・・・・ごめんね・・」
「まったくだ。」
!!!
「新一っ!!!!?」
ドアが開く音と同時に聞きなれた声がした。
振り返った先には新一が居た。
どうして??
なんで??
てか、今俺快斗なのにここに居て…まずい!!
そんな俺の動揺を知ってか知らずか新一はクスッと笑った。
「この、ばかいと。」
「・・・・・へ?」
「あははっ分かりやすい奴。」
「しっしんいち?」
「ここさ、俺がKIDに告白した場所なんだ。」
「・・・・・そう…なんだ。」
いきなりの展開に何一つついていけなかった。
どうして新一がここに来たのか、どうしてそんなに機嫌が良さそうなのか、
どうしてKIDの話をしだしたのか、IQ400でも、まるで分からなかった。
「だからここで終わらせる。」
「・・・・・何・・を?」
凄く嫌な予感がした。
もしかして新一は気がついたんじゃないか…
「目、潰れよ。」
「なっなんで?」
「いいから。」
「うっうん。」
俺は恐る恐る言われるがまま目を閉じた。
自然と気配を探ってしまい、新一が俺の後ろにまわったのが分かった。
すると背中に温もりを感じた。
どうやら新一が俺に背中合わせに寄りかかっている。
「KID・・・・」
「っ!!!」
やっぱり全部気付いたんだな…
さすが俺が認めた名探偵だよ――
「さすがですね。」
「…なめんなよ。」
「失礼しました。」
「なぁKID、俺たち別れよう。」
「・・はい・・・そうですね。」
覚悟していた言葉ではあったけど、胸にずっしりと重く響いた。
それでも最後くらいは潔く…そう思った。
「お別れしましょう。」
「今までありがとな。」
「こちらこそ。」
本当に…感謝するのはこっちだ。
俺は何も新一にしてあげられなかった。
不安にさせるばっかりで、全然幸せにしてあげられなかった。
「俺は、幸せだったよ」
俺の感情を読み取ったかのようにささやかれた言葉は、
あったかい優しさでいっぱいだった。
「ありがとう・・ございます。」
新一が少し微笑んだのが伝わってきた。
「でもな、これからはもっと幸せになる。」
「名探偵の幸せをいつまでも祈りましょう。」
「さんきゅ。」
そうして背中にあったぬくもりが離れていった。
新一が俺の横を通り過ぎる気配がした。
寂しさはあったものの、後悔はなかった。
新一のおかげでぐちゃぐちゃに絡まっていた糸が解けていくようだった。
きっと絡まった糸が伸びる先は違う場所だけど、
絡まった跡を大切に俺は前に進もう―
そう思った時だった。
自分の手を包み込むように何かが触れた。
驚いて目を開けると――
目の前に新一が居た。
そして、手に感じたぬくもりは新一の手だった。
「・・・な・・ん・・・・え?」
「なぁ快斗。」
「えっ快・・・な・・に??」
「俺、今フリーなんだけど。」
「・・・・・・・へ?」
「この手離したら、すっげー後悔すると思うぜ?」
「・・・しんいち?」
「離さないでくれよ。」
「・・・・・いいの?」
「ばかいと早く答えろ。」
「新一・・・・・絶対離さない。」
「バーロ
当たり前だ。」
俺は嬉しくて嬉しくて嬉しくて
繋いだ手を引き寄せて新一を抱きしめた。
「おい、離してんじゃねーか。」
「あっえ!!? ナシこれはナシ!!!!!」
「冗談だよ。」
今度は新一が俺の胸に顔を埋めてきた。
俺は大事に大事にそっと抱きしめた。
「ここからまた始めようぜ。」
「うん…ありがとう新一。」
大好き――