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~快斗side2~
俺は何をしてるんだろう・・・・・・・
新一に合わせる顔がなくて大学をサボった。
自分がまねいたことなのに、こんな風に逃げるのはずるい…
でも、あんな風に家を出て行った手前、無かったことには出来なかった。
(それでグルグル悩んで行き着く所がここって…)
俺は新一に告白された場所に来ていた。
あの時と違うのは頭上に広がるのが綺麗な夜空ではなく青空ということと、
身にまとっているのが純白の衣装では無く、Tシャツにジーパンだということ。
ここでの思い出はKIDのもの、俺が快斗が知るはずもないこと。
新一の照れた顔、今でもはっきり思い出せる。
俺も随分と動揺したから、きっと真っ赤…だったんだろうな。
この記憶を快斗からは消さなくちゃ…
告白されたのも照れた新一に見つめられたのもKIDだから…
KIDだから…
「あの告白が俺にだったらなぁ…」
そこで、気付く。
俺はずっと新一に告白されたKIDが羨ましかった。
羨ましくて羨ましくて、
自分の分身を憎らしく思った。
でも、もしその立場が逆だったら?
告白されたのが快斗で、新一の恋人が快斗だったら…
同じだ。
それならそれで、
KIDの姿の時、快斗を羨ましく思うんだろう。
「ハハッ俺馬鹿じゃん。」
結局俺は、全てを受け入れてもらえなければ納得しない。
どちらかじゃ駄目なんだ。どちらもじゃないと…
そんなことに気付いてももう手遅れ…
KIDとしてこのまま無かったことのように新一と付き合うことは出来ない。
別れるしかないんだと思う。
新一の気持ちを弄んでしまったのだから。
あんな新一の純粋な気持ち…
俺はそれを受け取る資格がない。
快斗としても親友失格だ。
元々、俺が新一に惚れてる時点で親友失格なわけだが。
新一が心許してくれていることが嬉しかった。
時折、悩み苦しむこともあったけど一緒に居る時間はすごく幸せだった。
でも、それも終わり。
新一はまだきっと気付いていない。
でももうこれ以上新一を騙すことは出来ない。
新一には悪いけど、新一から離れよう・・・・・
「新一・・・・ごめんね・・」