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日向 悠一郎
日向 悠一郎
novelistID. 25827
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二人の気持ち~続編~

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秋丸の本性、榛名の気持ち


「やめろ秋丸――っ!!!」

日暮れのなか、叫び声が榛名の家の中に響いた
声の主は榛名元希。
武蔵野高校のピッチャーをしている。
その榛名が声をあげた理由、それは榛名の体にまたがっている秋丸恭平のせいだった。

「お前一体何のつもりだ!早く下りろ!」
「嫌だね」
榛名が怒鳴るがそんなのお構いなしみたいだ。
なぜだか今日の秋丸はいつもと違って見えた・・・

――な・・・なんでこんな事になってんだよぉぉお!!!!!


それは時間をさかのぼる事二時間前・・・・・・・・・


「なー秋丸~」
「ん何??榛名??」
いつも通り授業を終えた二人は帰る支度をしていた。
「あのさー、今日俺んち来ねぇ?」
「・・・へ?」
突然聞かれたものだから秋丸はキョトンとしてしまっている。
「いやさ、今日部活ねぇじゃん?だからたまには俺んちで遊ばねぇかなーって思ってよ・・・」
今日は先生たちが会議のためどの部活も休みになってしまっていた
「あーそうゆうことね、分かったいいよ」
「ンじゃ決定な、行こうぜ」
榛名は笑い鞄をつかんだ
「うん」

自転車に乗り20分ぐらい漕ぐと榛名んちに着いた
家には榛名の母親と姉がいた。
「おじゃましまーす」
「あー!恭平君久しぶり~~!!」
榛名の姉が笑って手を振る
「あらほんとー、ちょっと見ない間に大きくなって!」
母親の方はニコニコしながら秋丸に声をかけた
「そーそー高校に入ってから全然遊びに来てくれないんだもん、つかまたカッコよくなってる」
「部活が忙しくて・・・スミマセン」
「そーよね、忙しいもの、あんまり来れないのは仕方ないわよね」
「そーだよお母さん。武蔵野高校の野球部、ここのところ強くなってきてるんだもの」
「ええ知ってるわよ、すごいわねぇ。秋丸君、これからも応援してるから頑張ってね」
「・・・あっはい!ありがとうございますっ!!」
キャアキャア言ってるふたりに秋丸がお辞儀をした
「話終わった?」
ずっと黙っていた榛名が口をひらく
「元希!あんたはどっか行ってなさいよ!」
「はぁ??秋丸は姉貴と喋りに来たんじゃねぇぞ!?つかそろそろデートの時間じゃねェのかよ?」
怒鳴った姉に榛名は食って掛かった
「は?何でそれを・・・・・・」
驚きを隠せないように姉が目を見開く
「昨日あんなにでけぇ声で話してたら聞こえるっつーの!何?『明日四時半から○○君とデートなんだぁ!もー超嬉しい!!!』だっけ?」
榛名が姉の口調を真似していった
「こっこの・・・元希ぃっ!!」
口をパクパクさせながら姉が榛名を睨む
「何?俺変な事言っ・・・んぎ?!」
笑っていた榛名の頭に秋丸の拳骨がヒットした
「つぅ~、何すんだよ秋丸!!」
「今のは榛名が悪いよ」
「なっ!でも先に姉貴が・・・」
注意された榛名は抗議しようとしたがそれは秋丸のとどめの一言であえなく消える
「いくらなんでもやり過ぎ。分かった?」
「・・・・・・」
「榛名」
「わーったよ。俺が悪ぅございました!!」
名前を呼ばれた榛名は諦めたかのようにふて腐れながら謝った
「ううわ、元希が謝った!!恭平君すごぉ」
普段榛名は家族に対しても謝らないみたいで姉が本気で感心している
「いえ、そんな事はないですよ。お姉さんはデートに行かなくていいんですか?」
「あっ!ヤバイ早く行かなきゃ!!じゃね恭平君☆」
「はい」
出かけていく姉に母と秋丸が見送るが一人榛名はしかめっ面をしたまま秋丸の隣にいた
――なんだってんだよホント、秋丸ももっと分かってくれたっていいのに・・・
「ハァ・・・」
一瞬秋丸のほうを見た榛名だったがすぐに顔を逸らしため息をついた
ため息が聞こえたのか秋丸が榛名のほうを見る
――機嫌悪いなー・・・どうしたんだろう?
心が読める訳ではないので秋丸には榛名が不機嫌な理由が分からない
それから秋丸は榛名の母親に捕まりリビングでお喋りを始めた
ふたり仲良く会話をしている中榛名の苛立ちは増していく・・・
我慢の限界に達したのか榛名が急に立ち上がった
「榛名?どうした」
「便所」
問い掛けた秋丸に榛名は無愛想に答え、リビングから出ていく
――榛名?なんかいつもと様子が違うような――・・・
「あらあら、ちょっとイジワルしすぎちゃったかしら」
困惑する秋丸の隣で榛名の母親が可笑しそうにクスクス笑う
「へ?どうゆう事ですか??」
事態が飲み込めていない秋丸はただ動揺するばかりだ
笑っていた母親がチラリと秋丸のほうを向いて微笑んだ
「あの子ね、最近機嫌がいいの。家でも少しづつ話をするようになったのよ」
「へぇ・・・」
――そんな風には見えないんだけどな・・・・・・
「その話の内容、秋丸君・・・分かる?」
「いえ」
突然の問いかけに首を振る秋丸、それを見た母親は不意にうえを見上げる
ふたりの間に少しの沈黙が続く・・・
そして秋丸のほうに向き直った母親は嬉しそうに笑うと口を開いた・・・・・・
「貴方の話よ」
「・・・え?」
思ってもみなかった答えに秋丸は拍子の抜けた声を出す
「元希ね、いつも貴方の事を楽しそうに話すの。私たちには向けないような笑顔でね。ホントに大好きなのねぇ、あの子ったらすこーし秋丸君にちょっかいかけたらあれだもの」
母親の答えに秋丸は少し驚いた
――全然知らなかった・・・じゃあ榛名の機嫌が悪い理由って・・・・・・
「スミマセン俺ちょっと・・・」
慌てて立ち上がる秋丸に母親が声をかける
「えぇ私ももう出かけるからお話は終わりね。多分元希は二階にある自分の部屋にいるわ」
「ありがとうございます」
秋丸はぺこりとお辞儀すると二階に上がる階段の方に行った
階段を上がる最中に玄関が閉まる音がした
――榛名・・・・・・



秋丸たちから離れ、部屋のベットに転がっていた榛名の耳に玄関の閉まる音が聞こえる
――え?!もしかして秋丸帰っちまったのか??・・・・・・なんだよあんな奴っ
ベットにおいてあるクッションを掴み壁に向かって投げる
――折角ふたりでゆっくりできると思ったのによ・・・なんにも分かってくれねぇし。きっとなんとも思ってねぇんだろうな、好きっつっても所詮は男だしすぐに覚めるさ。
「秋丸のバカヤロウ・・・・・・俺の気持ちなんも分かってくれねぇし・・・」
そんな呟きを溢しながらウトウトと榛名は枕に顔を突っ伏して眠りについた


「ん・・・・・・」
何かが口元に触れる感触で榛名は目を覚ました
寝ぼけながら起き上がり目を擦ると目の前に秋丸がいた
「・・・ほぇ?」
――あれ?こいつなんで・・・
「榛名」
まだウトウトしている榛名を秋丸が抱きしめた
「あ・・・きま、る?」
急な抱擁に榛名の眠気が吹っ飛ぶ
「秋丸、お前帰ったんじゃ・・・・・・」
抱きしめられている榛名は今まで寝ていた所為か声が震えた
「何も言わずに帰るわけないだろ?」
秋丸がさっきよりきつく榛名を抱きしめる
「ちょ、苦しいから」
「あ、ごめん」
軽く背中を叩くと秋丸がバツが悪そうに離れようとする
その腕を榛名が掴んだ
「榛名?」
「くっ、苦しいつっただけで・・・誰も離れろとは言ってねぇぞ!!」
口を尖らせそっぽを向きながら榛名が呟いた
――はっ榛名がデレてる!!!