英雄、ミッドチルダに降臨す3
「うーん、どうしたものか……」
あれやこれやと説明を終えた後、家康一人が残って会議室で悩んでいた。
『これは時空管理局の地図や。分からんかったらちゃんと目ぇ通しとき』
そう、はやてからもらった時空管理局の地図だった。家康は、そのミッドチルダの文字が全く分からない。今まで見たことがない文字がたくさん並んでいて、見慣れた漢字とひらがなが一つもなかったのだ。
「あっ! いたです! 家康さぁーん!」
すると、少女の声が聞こえた。家康は後ろを振り返るが、誰もいない。しかし、少女の声が聞こえるのだ。
「ここですよ家康さん!」
今度は上から声が聞こえたので家康は上を見上げると、何と、空中に浮いている三十センチくらいの大きさの少女だった。これには家康もたまげて腰を抜かした。
「うえええええ!? そ……空飛ぶお……女一寸法師ぃ!?」
「ひどいです! リインは空飛ぶ女一寸法師じゃないですよぉ!」
「す……すまん! あ、あまりに小さい人間だったから……あ、今のは失言だ!許してくれ!」
混乱して少女に対して失言してしまった家康は腰を抜かした体をゆっくりと起こして、少女に謝罪した。
「ぷっ……あっはっはっは! やっぱりそうですぅ~! はやてちゃんの言う通りですぅ~!」
「……へ?」
少女が突然笑い出して家康はぽかんと口を開いたまま笑っている少女を呆然と見た。すると、モニターから家康が仰天して腰を抜かす姿を見て大爆笑するはやてが映った。
「あはははは! 思った通りや! 家康君がリインを見たら絶っ対に腰抜かすやろ思うてな、ほんまにそうなると思ってたわ! あはははは!」
「……なぁ、はやて殿。この子は一体……?」
「ははっ! あ、あぁ、その子はリインフォースⅡ(ツヴァイ)言うてな、わたしの補佐なんよ」
「えぇっ!? き……君が!?」
「そうです。リインはちっちゃいけどこれでもはやてちゃんを助けてるんですよ」
はやては家康に小柄な少女・リインことリインフォースⅡを紹介すると家康はリインがまさかの補佐役だったことを驚きを隠せなかった。
小さな体ではやてを補佐をするのがリインの役目だが、家康から見てリインはどうやってはやてを補佐するのかを考える。
「家康君、六課の中を歩いてみるのはどうやろか? リインとあの子と一緒に探険するのも勉強の一つやで?」
「えっ?」
はやての言葉に家康は固まるも、リイン達と一緒に六課の中を探険するのもいい考えだし、彼にとって勉強にもなるだろう。
「あっ! 家康さん、リイン曹長、ここに居たんですね!」
「それに八神部隊長も……」
スバルとティアナが会議室の中に入ると、家康とリイン、モニターに映っているはやてと出会った。
「ちょうどよかった! 二人とも、これから家康君と一緒に六課の見学でもしとき!」
「あ……あの、八神部隊長、これは一体……」
「スバルもティアナも少しは六課の中、慣れたんやし、家康君と一緒にやれるからええやろ?」
スバルとティアナは何のことなのかとんと分からなったが、リインがいるということは大事なことなのだろうと理解する。家康とスバルとティアナ、そしてリインの四人は機動六課の見学が今、始まろうとしていた。
やがて家康は機動六課の施設の中身を見学する――
作品名:英雄、ミッドチルダに降臨す3 作家名:葉月しおん