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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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仮面ライダーW episode Dragoon

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第一話 Dの新参者/受け継がれし魂



俺は叔父さんの意思を継いでここにきた
そう、叔父さんの愛した街、"風都"に
うん、前に来たときみたく、いい風が吹く
僕の汗をさらりと乾かしてくれるようないい風だ
これなら風都と呼ばれる由縁も分かる
さて、そろそろ目的の場所に行かないと
叔父さんが探偵をしていたころの事務所
いまはその弟子が引き継いでやっているという
まあ、彼なら大丈夫だ
それに立派な相棒だっている
そして…俺は…
この街の悪と、彼らとともに戦うためにもここに来た…

少年はある場所にたどり着いた
二階と思しきところの看板にはかもめビリヤードと書かれている
一回のガレージみたいなところには黒と緑で半分ずつペイントされたバイクが止まっている
その隣には赤いバイクも止まっている
ふむ、客でも来ているのかな?
少年には黒と緑のバイクの所持者は誰か…いや、誰と誰なのか分かった
しかし赤いバイクの所持者は分からない
そして二つのバイクのそばの柱を見る
そこには看板があった
しかし、見覚えのあるものとはぜんぜん違った
「鳴海…探偵事務所…こんな看板じゃなかったよな…」
少年はあきれた
その看板には、少女思考がにじみ出ていたからだ
「はぁ…全く…亜樹姉は…」
こんな看板を描くのは、あの人以外に考えられない
だからこそ、あきれる
さて、早く行かないと、約束の時間が
少年はその先にあったドアを開け、中へ入っていった

「やあ、久しぶりだね、翔太郎、フィリップ、亜樹姉」
少年は、建物の奥へ入り、そのドアを開けるなりそう言った
「おお、久しぶりだなぁ、龍介(りょうすけ)」
少年の名は内藤龍介(ないとうりょうすけ)
出身は大阪
亜樹子と同じだ
その理由は…
「彼が…紹介したいって奴か、左」
「ああ。彼は内藤龍介。前に言っただろ、おやっさんの…甥っ子だ」
そう、龍介は鳴海荘吉の甥っ子
つまり、、亜樹子の従弟に当たる
「あなたは?」
龍介はあの赤いバイクの持ち主と思しき人物に訊いた
「俺は照井竜。風都警察署超常犯罪捜査課の刑事だ」
「刑事さん…ねぇ。翔太郎から聞いたよ。あんたも、"仮面ライダー"なんだって?」
竜は平常を装い、ハッとした
決まっている
翔太郎がそこまで言っているとは思わなかったからだ
「ああ、そうだ」
竜はいつもどおりの口調で答える
そして、懐から赤い棒のようなものを出す
…ガイアメモリだ
そして竜はそのスイッチを押す
『Accel』
そう、ガイアメモリは告げた
「…ほう…"加速"の記憶か…」
「なぜ、ガイアウィスパーを聞いただけで分かった?」
「そりゃあ、T1に始まり、T2ガイアメモリのことも研究してたからね」
竜が振り向き、翔太郎を見ると、翔太郎はうなずいていた
「どうやって資料を?」
「シュラウドがさ、協力してくれたんだ。僕が叔父さんの甥だって知ってたみたいで」
「シュラウド…」
竜が言い、言葉の主とフィリップはうつむいた
彼らはそれぞれ考えているのだ
竜は、自分の敵討ちを手伝った者のこと
フィリップは自身の母親、そして家族のことを
「ああ、ごめん。翔太郎から聞いてるよ。シュラウドのこと」
「そうか。で、お前も持っているんだろ。…メモリを」
「なんだ、翔太郎話しちゃったのか」
龍介は半分笑いながら尻のポケットに手を入れた
そこから緑色のメモリを出す
そしてボタンを押す
『Dragoon』
「なるほど、幻想の記憶のメモリ…か」
脳内に地球の本棚を抱える少年が興味深そうに見る
「そうだねぇ。ドラグーン自体、竜騎士って言う意味だけど、地球の記憶では、幻想の記憶ってことになるね」
「それで、ドライバーは?」
「ああ、シュラウドにもらったよ」
そういってジャケットの胸ポケットに手を突っ込む
「…ロストドライバーか」

一行は街にくりだしていた
久しぶりに風都に来た龍介に、街を案内するためだ
ちなみに竜は仕事で来ていない
「久しぶりに風麺行きたいかな」
龍介はそう注文した
「よーし、じゃあ行くか!」
翔太郎の号令に3人が続く

「んな!」
4人は風麺屋台についた
しかしそこで待ち受けていたのは…
「どうして…」
何者かに襲われたような残骸だった
「おやじさん、これは…?」
龍介が訊く
「あんた…」
「憶えてませんか?内藤龍介です」
「ああ、龍介君か。いやー、大きくなったねぇ」
「ご無沙汰してます。それで、これは?」
再度龍介は訊いた
今度は少し真剣なまなざしで
「ああ、今日営業を始めようとしたら…」
そういって風麺のおやじは回想を始めた

「さー、今日も営業営業!」
いつもどおり、屋台を引っ張り出して、この場所に構えたんだぁ
そうしたら突然…
「な、なんだいあんたぁ」
なんか、怪物が現れて、襲われたんだぁ
えーと、この前のどんぶりのやつみたいに…
でも、今度はどんぶりのやつじゃなかったんだぁ
それで、成す術も無く、屋台はこの有様
もう、どうしたものか…

「…とりあえずマスター、俺らが何とかするから」
「それでは、また後で」
こうして事件の依頼を受けた探偵一行は捜査にでた

「多分、照井が呼ばれたのはこれだろうな」
「間違いない。彼は約束を急に破るようなやつじゃない」
うむ、いいコンビネーションだな
龍介はつくづく感心させられた
「さて、サンタちゃんたちに情報提供依頼もできたし、後はジンさんだな」
「ああ、照井も大丈夫だろう。翔太郎」
「ああん?」
「…今回も、ドーパント絡みだろうか…」
「まあ、そんなとこだろうよ」
そのとき、目の前に人らしきものが見えた
しかし、形状からして人ではなかった
人の形はしているが…言葉では形容しがたい
ただ一言、この目の前のものを表す言葉があるとしたら…
…怪物
「…ドーパントか」
「事件をかぎまわるのはやめろ。さもなくば…」
「そんな脅し、俺らには通じねぇ。行くぜ、フィリップ」
「ああ」
翔太郎とフィリップ
それぞれ黒と緑のメモリを出し、ボタンを押す
『Cyclone』
『Joker』
そして、二人並んで、二人でポーズをとり、叫ぶ
「「変身」」
「ちょっと待った」
「何だよ!?」
「俺にやらせてくれ」
「…まあ、いいや。譲ってやる」
「いいのかい、翔太郎」
「まあ、大丈夫だろ」
そんな言葉を受け、龍介は前に躍り出る
そしてメモリを出し、ボタンを押す
『Dragoon』
次はロストドライバーを腰に装着する
今度は右手のメモリをドライバーに挿す
そして掌を広げ、手の甲を前に向け腕をクロスさせる
「変身」
その言葉と同時に掌を返す
そして右手でドライバーを展開する
すると青い電気と風が起こり、それがまとわり付いてスーツを形成する
それから電気と風を左手を広げ払う
仮面はさながら龍を模しているように見えた
「お前は…?」
刃物を模しているように見えるドーパントは訊いた
「僕は、仮面ライダードラグーン」
その言葉を言うと少し顔をうつむかせ、右手を前に出した
「さあ、お前の罪を…」
そして手首のスナップを利かせてから手首を返す
「数えろ…!」
その言葉と同時に顔を上げる
その動作は翔太郎には、鳴海荘吉を連想させた
「…おやっさん…?」