仮面ライダーW episode Dragoon
第八話 さらばG/全てを停止せよ
龍介は、自身の切り札を明かした
ゴッドメモリという名の
フィリップによれば「絶対の記憶」らしい
その意味は絶対的最強や、絶対的存在…
つまり、この世で最強のメモリ…
だがしかし
その力を使うには…
代償と条件があると言う
「…"絶対の記憶"のメモリ…」
フィリップが訊き、それに龍介が応答する
「ああ。ゴッドメモリを含めず、最低15本の同型メモリを吸収し、その記憶を糧とする」
瞬間、翔太郎が「ちょっと待て」と突っ込みを入れた
「15本って…おまえ、そんなにメモリあるのか?」
「あるさ。俺の6本と、お前たちの9本が」
翔太郎とフィリップはメモリを出した
そしてエクストリームメモリが飛翔してくる
これで9本
そして龍介の…
ドラグーン
フェニックス
フリーズ
サンダー
エクストリーム
プリズム
これをあわせて15本
「メモリが被ってるけど、大丈夫なのか?」
「ああ。数さえあれば、問題ない」
「そうか…」
「条件は分かった。じゃあ、代償とは一体どんな物なのだい?」
フィリップがあごに手を当て訊いてきた
「ああ…それなんだが…」
龍介は、まず何を話そうか、悩んだ
「まずは、こいつのマキシマムについて話そう」
ここでその話をまとめておこう
ゴッドメモリのマキシマムは、使用者が望んだメモリの力を制限無く停止させるというものだ
いわば、エターナルの強化版と言ってもいい
しかし効果範囲が狭く、せいぜい半径1kmしかカバーできない
と言うものである
「そして、代償とはな…」
龍介は、いうことを躊躇した
しかし、言わねばならない
「…まず、一つ目」
「複数あるのかい?」
「ああ。じゃあ、一つ目…ゴッドメモリは、一度マキシマムを使うと問答無用で機能を停止してしまう。そして、壊れてしまう…中のメモリと共に」
「それって…」
龍介はコクリとうなずいた
それが意味しているもの…
それすなわち
"仮面ライダー"になれなくなる
「そして二つ目。僕の作れるメモリはT3メモリのみだ。そして僕が持っているメモリの基盤はT3専用にカスタマイズされている。つまり…」
「作っても動かなくなる…」
「そういうことだ。そしてそれが表すのは…」
「メモリの製造ができる人間が、この世から消える」
「そうだ。…でもまあ、これであの如何わしいメモリが増えなくなるって事だけどな」
「そうだが…お前はそれでも良いのか?」
「言いに決まってる」
訊かれた本人は間髪いれず答えた
「この街の平和が僕の戦う意義だ。僕の行動で、街が少しでも救われるなら…。それに、T1だけだったら、お前たちだけでも対処できるだろ?」
確かにそのとおり
いくらT3メモリを翔太郎たちは頻繁に使っていたとはいえ、まだT1を捨てたわけではない
要するに、翔太郎たちはまだ戦える
「戦えなくなるのは、僕だけだ」
だけど…一つだけ…保険はある
そして倒した幹部のうちの2人から聞き出した情報と、情報屋の情報からフィリップの地球の本棚で検索し、リクレイムの本丸を突き止めた
「ここか…」
そこには見覚えがあった
いや、見覚えどころではない記憶があった
「チャーミング・レイブン…」
そう
表向きは製薬会社
裏は…
「財団Xの元ガイアメモリ製造工場…か」
あれから1年たっているとはいえ、まだ記憶に新しい
あんな事件があったのだから…
「しかし左、乗り込むのだろう?」
ちなみに竜も同伴でいる
無論、リクレイムの壊滅が目的だ
「ああ。付き合ってもらって悪いな」
「問題ない」
「さて、行くか」
その号令と共にそれぞれメモリを出す
そしてボタンを押し、ガイアウィスパーを発する
『Cyclone』
『Joker』
『Accel』
『Dragoon』
そしてそれぞれ身構える
「「「変身」」」
「変…身!」
そして変身が完了する
「いくぜ…」
翔太郎の号令と共に3つの影が動く
「…みんな…」
亜樹子はフィリップの体を背負って前の三つの背を見送る
「…どうか…無事で…」
「うおぉりゃ!!」
中に入るや否や、マスカレイド・ドーパントの大群に襲われた
それに怯むことなくライダーたちは立ち向かう
ドラグーンはドラグーンマグナムで
アクセルはエンジンブレードで
Wは肉弾戦で立ち向かう
相手はマスカレイドなので、少し攻撃しただけで消滅する
それでも数が減ったように感じない
「左、フィリップ、龍介、先に行け!」
「照井…お前…」
「こんなところでもたもたしてはおれん!行け!」
照井はすでに訊いていた
この戦いの切り札が、龍介のゴッドメモリであることを
それは愛する妻から訊いた
ならば彼らを送り出すのは、仲間として当然の行為!
だからこうした
「…分かった」
その厚意を受け入れ、二つの影は先を急ぐ
それを見送り、正面を向く
ざっとみて100はいるだろう
しかし彼は怯まない
街を…仲間を守る
それが男を動かしていた
そして叫ぶ
「さあ…振り切るぜ!!」
アクセルドライバーのスロットルを引いて出力を全開にする
そしてエンジンブレードを構え、切り込む
2人…いや、3人のライダーは地下にいた
そこは、翔太郎にとっては濃く覚えのある場所だった
若菜を助けた場所
そう、あの場所だ
「おやおや、皆さん、おそろいで…」
そこには男が4人いた
「私はオーシャン。このリクレイムの主です」
「てことは、お前がボスってわけか…」
「そうですな。では、あなたたちは排除させていただきますよ。仮面ライダーは私たちの計画には不要な存在ですのでね」
「…そうかい。ちなみに訊くが、幹部は残りお前らだけか?」
「いえ、まだこの施設内に数人ほど」
そして男は周りの男―幹部であろう男たちに指図した
『Terror』
『Weather』
『Zone』
そして彼らはメモリを挿した
ちなみにテラーの持ち主はドライバーを介してだが
「行け、我が幹部よ」
オーシャンと名乗った男が言う
それに従い、ドーパントたちは襲ってくる
しかしゾーンドーパントは来ない
後方支援にまわる気なのだろうか
そして必然的にWがテラーと
ドラグーンがウェザーとという布陣ができていた
Wは苦戦することなく戦う
翔太郎はすでにテラーに対する耐性があるため、難なく戦えた
しかしドラグーン…龍介は違った
初めて見る相手
しかも、複数の能力を持った相手だ
そんなやつに普通じゃかなうはずが無い
だから一つ目のカードを切る
『Xtreme』
そして変身を完了する
「仕方ねぇ…。プリズムビッカー」
そしてややくすんだ色のプリズムビッカーを出す
ちゃっちゃと片付けたほうが良いかな
そして4本のメモリを挿す
『Prism MaximumDrive』
『Dragoon MaximumDrive』
『Phoenix MaximumDrive』
『Freeze MaximumDrive』
『Thunder MaximumDrive』
そして剣を抜き、ドーパントを切り裂く
「ビッカー、チャージブレイク!」
相手からメモリが排除され、ブレイクする
それを翔太郎たちはわき目で見ていた
「俺たちも負けてられねぇな」
「ああ」
そして鳥の形をしたメモリを呼び出す
それはドライバーに挿さり、自動で展開する
『Xtreme』
作品名:仮面ライダーW episode Dragoon 作家名:無未河 大智/TTjr