Sweets
それを受けつつハリーは照れたように苦笑した。
「ドラコは甘いよなー。僕を甘やかしてばかりだ」
「恋人だからな。君を甘やかしていいのは僕の特権だからな」
何度も確認するように、ついばむようなキスを繰り返す。
「ここは駅だよ。みんなが珍しそうに僕たちをみているよ」
悪戯っぽい笑みを浮かべるハリーに、当然のことのようにドラコは頷いた。
「ああ、駅は出迎えたり別れたりするときに、みんなキスをしているじゃないか。だから別段キスをしていても不思議じゃないだろ?」
「そりゃそうだけどさ、あまり男同士でキスしているのはそういないよ。いろいろ視線を感じるんだけど」
「指を咥えて、羨ましがらせておけよ」
そう言い捨ててまた唇を重ねた。
ドラコの舌先はさっきのケーキが残っているようでバニラに匂いがする。
「甘いなぁ」とハリーは思った。
唇も腕の中の抱きごこちも、髪の毛の匂いも、肌も声も、みんな甘い。
そして、ドラコはハリーにはとびきり一番に甘い。
ハリーは甘いものは苦手だとずっと思っていたけど、たったひとつだけ、甘くて大好きなものがあったことに、やっと気付いたのだった。
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