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【Alwaysシリーズ 1 】 Always

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4.               

背の高い草が生い茂る原っぱで寂しそうに膝を抱えてハリーがポツンと座っていたから、僕は歩いてそばに行ったんだ。
そして舌を出して相手のほほに何度も舐めた。
そしたらハリーはくすぐったそうな顔をして、僕の頭をやさしく撫でてくれた。

「―――ああ、ドラコ。君は本当にいいコだね」
そう言って笑ったけど、その横顔はとても寂しそうだった。
ハリーはまた膝を抱えて、ぼんやりと遠く見ている。
誰かをずっと待っているように。

どうしたの?
なにか悲しいことがあったの?
僕はここにいるよ。
ハリー、僕はここだ。
ずっと側にいるから……。

僕はクンクン鼻を鳴らして、長い尻尾を振って、その毛足の長い手を相手に差し出して、それから――


ハッと目が覚めて、ドラコは布団から飛び起きた。
(……不覚にも自分が犬になった夢を見るなんて……)
何もかもが信じられなかったけれど、自分の周りを見てそれもしょうがないかと、首を振る。ドラコは寝ぼけて、毛深い茶色の大きな足を握っていた。

朝日のなか、明るくなった部屋はスチームが効いていてとても暖かい。
ハリーはとなりで健やかな寝息をたてていて、自分の反対側には茶色い犬がいた。
見上げると枕の上のほうには黒い斑点の犬だ。
ハリーの背中には茶色の斑点の犬が張り付いていて、足元の左右には白いのとブルーベルトンのが、眠っている。
つまり、自分たちは犬に取り囲まれて眠っていたらしい。

(だからあんな変な夢をみたのか………)

昨日の夜はハリーに抱きしめられて眠った。
ずっと安心して眠ったことがなかったから、その腕の中はとても気持ちがよかった。
そしてぐっすり眠って起きると自分はまだハリーの腕の中にいたけれど、それだけではなかったらしい。

布団と犬たちに包まって眠っていた自分たちの姿に、フフフと自然と軽い笑い声が漏れた。
この犬たちはよく食べそうだ。
えさ代がきっと大変だろう。
これからベッドルームの真っ暗の闇の中でハリーと抱き合っていたら、間違えてこの毛深い足をにぎってしまいそうだ。

茶色の毛並みの美しい自分のとなりにいる犬にそっと話しかける。
「――やあ、昨日の夜は寒かったのかい?寒くてそっとこの部屋に入ってきたの?」
こげ茶色のいたずらっぽい瞳でじっとドラコを見て、そっと尻尾を振った。
ドラコは微笑んで、その頭をなでつつ部屋をゆっくりと見回す。

床には昨夜お互いの服を脱がしあったせいで、それらがだらしなく脱ぎ散らかっているままだ。
大きなベッドのシーツはぐちゃぐちゃで、その中で毛布と犬にまみれて、ハリーと抱き合って眠っていたなんて。

……なんてこの部屋は素敵に居心地がいい空間なのだろう。
ここにあるすべてのものが暖かかった。

相手の胸に顔を摺り寄せると、ゆっくりとまぶたが動いた。
目の前にいるドラコを確認して、瞳を細めて笑いかけ、「おはよう」と軽いキスをする。
「なにか朝食をつくろうか?」と当たり前に問いかけるから、
「ああ、いっしょに作ろう。」と当然のように答えた。

ありきたりな日常。
ありきたりな日々。
ずっとこのままいっしょに暮らしていこう。

日曜日にはこの犬たちを連れて、郊外まで散歩に出かけよう。
いっしょに食事を作って、「おいしいね」と言いながら食べよう。
泣いたら背中を抱きしめて欲しいし、笑ったら笑い返して欲しい。

働いてお金が貯まったら、少しだけ今より大きめの家を買おう。
犬も自分たちもゆったりとすごせるような家だ。

帰ってくると家にあかりがついていて「お帰り」と言って出迎えてくれる。
大きくなくても、ピカピカでなくてもいいんだ。
ただお互いが心地よくすごせる空間がある、家族が帰るべき家があればそれだけでいいんだ。

ハリーの楽しみはいったい何なのかな?
僕の楽しみはいったい何だろう?
ふたりでもっと楽しいことや嬉しいことを、これからいっぱい探していこう。

そうして白いスチームが暖かく漂っている空間で、僕たちは見詰め合い笑いあった。



―――いっしょに幸せになろう―――


     ■END■


*とても書きたかった野望がひとつ叶いました。「犬にまみれているふたり」です。
これを書くことが出来て、とても幸せです。
作品名:【Alwaysシリーズ 1 】 Always 作家名:sabure