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私は君がいつか誰かに騙されそうで怖いよ

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惨状だ。
 門田はクィと日本酒を煽り、自分の両脇をちらりと盗み見た。
 こいつは、ひどい。惨状だ。
 自分の左横では池袋の怒れる都市伝説、平和島静雄が泥酔状態でくったりとカウンターに伏せているし、右隣では変態闇医者の岸谷新羅が顔をほのかに紅く染めて机を叩きながら自分の恋人の可愛さをひたすら惚気ている。
 余りの光景に、門田は目の前でこの騒ぎにも動じず淡々と明日の仕込みをしているらしい居酒屋のオヤジに無言で援助要請を送ったが、「あぁそうだそろそろ電話しねぇとな」なんて適当な台詞と共にわざとらしく、思いっきり視線を外された。
 ため息をつき、まだ二人とも吐かないだけマシか、と彼もまた酔いからかズレた見解を弾きだし、意識をふわふわと浮かべて門田はこの状況に至るまでの軌跡を静雄の寝息と新羅の愛の叫びをBGMに振り返った。