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みんな誰かの愛しい人(虎兎)

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矢継ぎ早にそう言われ、お礼を言おうにもバーナビーは勢いに押されるばかりだ。さすが、女王様なだけのことはある。
この押しの強さ。
「あと、玄関のドア壊れてたけど、あんたがやったのあれ?」
カリーナに言われて、虎徹は気まずそうに笑う。
ここへ来たのはいいが、いくら呼び鈴を押しても出ないし、連絡も取れない。開けてもらう手段は他にもあったのだが、面倒になってハンドレッドパワーを使ってこじ開けたのだ。まさに壊し屋の異名を裏切らない虎徹である。
「何があったかと思うじゃない。乱暴なんだから…ってきゃあああ」
悲鳴にも似たカリーナの声に何かと思えば、綺麗な夜景を見渡せる大きな窓に、素顔のまま飛んでいるスカイハイの姿が見えた。何やらこんこんとガラス窓をノックしている。
「私はよしなさいって言ったんだけどねえ…」
きちんと玄関から入ったらしいネイサンが、それを見て呆れたような声で呟いた。
一人で倒れていた時の静けさが嘘みたいな騒ぎの中だったが、そんな声を聞きながらバーナビーは思う。
この人たちに何かあったら、きっとその時は自分にも出来ることがあるかもしれない。
その日のために、まず今自分がやることは風邪を少しでも早く治すことなんだろう。おじさんの賠償金も、きっと次に出動した時に請求されるかもしれないし。
「飯、出来たら起こしてやるよ。もう少し寝てろ」
騒がしい中、そっと自分にしか聞こえないくらいの声で囁かれ、バーナビーは笑顔でいつものセリフを虎徹に告げた。

「お節介」