そして私も居なくなった
お姉様はまったく私には会ってくれなかった。私はいい加減、お姉様との間を阻む鉄の扉を壊す事を決めた。右手を前に翳して鉄の扉を見る。丸い点が無数にあるのが見えた。私はそれをぎゅっと握り込むと、土煙を上げて鉄の扉は見る影もなく壊れた。
ねえお姉様。ほんとに悪いのはだあれ?
――言いつけを守らなかった私?
――それとも、私に会ってくれなかったお姉様かしら?
「私は良い子にしてたはずなのに」
悲しくもないのに止めどなく目から涙が溢れた。そして、同じ言葉を何度も何度も自分に言い聞かせるように呟いた。けれど、誰も私に優しい言葉をかけてはくれなかった。
こうして私はお姉様の姿を求め、495年間過ごした地下室を後にし、そして私もそこから居なくなった。
お
し
ま
い
作品名:そして私も居なくなった 作家名:ドナ