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【臨帝】さよならの雨・抜粋

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 臨也の言葉に帝人は沈黙する。「帝人君がじゃなくて、世界がさ。何これ」嫌悪を吐き出しながら帝人の上半身を自分にもたれかからせて尻を拭く。これは帝人にとって酷い屈辱的なことだろう。何も言わないまま臨也のされるようにしていたが腸が煮えくり返っておかしくない。
 ぶらん、ぶらんと帝人の手が揺れる。見ないようにしているバケツの中身に汚れたティッシュを投げ入れて自分の足で立つことのない帝人を抱き上げる。
「足と腕って」
「――動きません」
「不便だね」
「そうですね」
 帝人の受け答えは平坦だ。感情を押し殺しているというよりはすり減らしてなくなってしまっているのではないのかと見えるほど声に感情の波がない。機械的な感じはいつかの声と表情が不釣り合いな帝人を思い出す。
(さっき泣いてたのに)
 排泄は慣れないのか、そこまで日常的ではないのだろうか。考えながらも約束通りに帝人をトイレへと連れて行く。