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お題で短文浦一

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赤橙色の日の約束



赤々と、町を焼きながら沈み行く太陽の陽が君の存在まで真っ赤に染める。青空に映える綺麗な橙色の髪も、夏に真っ直ぐ上向く向日葵のような笑顔も、皺のないピシリとしたシャツに包まれる華奢な肩も背中から腰のラインも、ゆったりと前を向いて浦原の少し先を歩くすらりと伸びた足も、みんなみんな。燃えるような夕陽は焼き尽くしていく。浦原に届くのは黒い黒い影ばかりで、まるで燃え滓のようで、浦原の手は夕陽に溶ける少年に触れることが叶わない。冷たい指先の先にある彼の体温はどんな温度をしていただろう。浦原の指先のように冷たかっただろうか、それとも燃えるように熱かっただろうか、ああでも、笑った顔のように温かかったはずだ。冷え切った浦原の存在を丸ごと包み込む温もりは、いつだって浦原を世界に肯定してくれた。差し出された小指よりも、ぶっきら棒に告げられた台詞よりも、彼の小指に浦原のそれを絡ませたことに嬉しそうに笑ってくれた顔が印象的だった。そんな顔を見せてくれるなら小さな約束くらいいくらでも与えてやろうと思った。浦原にとって大した意味を持たなかったそれらが、少年にとって腕に抱えて蹲るほど大切な物だったと理解できていたなら彼はまだ浦原に翳りのない笑顔を見せてくれていただろうか。冷たい指先は伸ばした先で彼の温度を知ることができただろうか。冷えたまま彼の体温に暖められることのない指先を握り締める、ああ、


(君を抱きしめたいのに)


作品名:お題で短文浦一 作家名:ao