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THE SPEAK OF MY HEARTS!

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0.



ヒーロースーツを身に纏うヒーローと呼ばれる彼ら。そして入る通信。
『ボンジュール、ヒーロー』
 その声に、この街でどこかの誰かが助けを求めている事を改めてヒーロー達は認識させられつつ、現在の状況を聞くと、銀行強盗が早朝から出没したという声を聞いた。
「強盗!?朝っぱらから野暮な事よねぇ」
「ったく、自分の生きる糧のお金は自分で稼ぎなさいよ!」
通信で入るファイヤーエンブレムの声に思わずブルーローズはそう声を上げると、その通信の声を聞いていたワイルドタイガーは全くだ、という声を上げれば、今度は別の通信の声が感慨深い声を上げる。
「賠償金が溜まってカツカツの生活をやっているやつが居るってのになぁ」
 そんなロックバイソンの声になにをぉ!というワイルドタイガーが声を上げると、バーナビー・ブルックスJrは小さく笑った。
「ちょ、てめぇもかよ!」
 隣で笑うその声に焦る様になんだよ!と言うタイガーの声に、何でもありませんよと又も笑うバーナビーの声が通信に拾われて、スカイハイが仲良きことは良いことかな!とそんな声を上げている。
『まったく、妙な言い合いはいいから、現場に向かって頂戴、アナタ達は漫才コンビじゃないのよ、タイガー&バーナビー』
「って、ツッコミは俺達だけかよ!」
 アニエスの言葉にタイガーがそう声を上げれば、そういうから余計に馬鹿にされるんですよ、とバーナビーは言うと、そうなのか?と声を上げたタイガーの声にくすくす笑うドラゴンキッドの声と、心底楽しそうですねと小さく折紙サイクロンが声を洩らす。
「遊んでんじゃねーんだからな!」
なんて言うタイガーの声が響くと
『それはアナタよ、タイガー』
 と、アニエスの呆れた声が一言上がったのだった。
     *
 早朝の強盗事件現場にヒーロー達が駆けつけた時には、襲われた銀行から現金輸送車と共に強盗犯が逃げた後で、ヒーロー達は各々の方法でその輸送車を追った。
足止めを真っ先に開始したのは、ブルーローズだ。アイス・リキッドガンが走行中の車を先周りして沿う交通路の道を凍らせた。そのままファイヤーエンブレムがその氷を溶かす程のしかし、人を焼かない程度に加減した炎を出すと車のエンジンがぼすんと煙を上げて車が完全停止。そこに、追い詰めたぜ、とそう声を上げたのはワイルドタイガーだったが、そのまま犯人捕獲はバーナビーで、その手際の良さに小さくドラゴンキッドがずるいと声を上げた程だった。
「おい、バニー、お前っ! なに俺がカッコ良く犯人逮捕を決めようと思ったのに横から出てきてんだよ!」
「何を言ってるんですか、ポイントは頂きましたよ」
はははとフェイスカバーを外した状態で笑うバーナビーをふうん、と見るのはファイヤーエンブレムだ
「どうしたの?」
 ファイヤーエンブレムの長身を少し見上げるようにドラゴンキッドが声を上げれば、ファイヤーエンブレムは少し笑い声を上げた。
「あのハンサムの事よ。なーんかね、本当に吹っ切れたみたいねぇ……」
「吹っ切れた?」
 ドラゴンキッドのその声にうふふ、ともう一度ファイヤーエンブレムは笑うと、人間二十年も追いかけて居た事件が片付いただけであそこまで変わるものかしらねぇ……と笑った。
 そんなファイヤーエンブレムとドラゴンキッドの会話の向こうで、こんにゃろう、と声をあげるワイルドタイガーはバーナビーに笑われていた。
ワイルドタイガーが言葉を発していたところで、スピード勝負の様に出てきたバーナビーは傍目から見て、ナイスコンビのそれだったのだ。
(実際、ひゅうと口笛を鳴らしてその様子に驚いていたのはロックバイソンだ)
「おまえなぁ!」
 なんて叫び声を上げるワイルドタイガーに、ふふっと吹っ切れた顔で笑うバーナビーを見てしまえば、タイガーの怒りはしゅんと萎えたのだった。
 そしてそんな様子にブルーローズは肩を竦めて言葉を発した。
「……なんなのあいつ」
「まあまあ……手柄取られたからってそうカッカするなよ」
 アイスリキッドガンをホルダーに収めながら、そう声を上げるブルーローズに落ち着け、と言うのはロックバイソンだ。だけれど、ブルーローズはそんな声に相変わらず頬を膨らませて不満が有る様だった。
「ったく、そんなに頬膨らませてー、可愛いお顔が台無しよ?」
 うふふ、と笑うファイヤーエンブレムの声にブルーローズはえっ!?と声を上げると、両手で自分の両頬に手を当てて、そんなに?とファイヤーエンブレムに声を上げた。
「おい、俺との態度とぜんぜん違うじゃねーか」
 小さく呟いたロックバイソンの言葉に、ファイヤーエンブレムは、あらあんたも女子の仲間に入りたかったの?なんて声を上げつつロックバイソンにどこか色艶めいた手つきで手を伸ばせば、違う!という突っ込みをロックバイソンに、ファイヤーエンブレムは、笑い声を上げるのだった。
「まあ、とりあえず。仕事も学校も有るでしょ、私だってこれから会議の予定が入ってるから急ぐわ~」
なんていえば、そうだった、と各々に声が上がる。
スカイハイは既にいつものスケジュールをこなすことにあたっているのか、もう姿は見えないし、いつも見切れている折紙サイクロンだって、ロックバイソンが気付いた頃にはもう居ない。
「じゃーねー」
 そんな言葉を残してさっきまで若干喚き気味だったブルーローズも気がつけば居らず、タイタンインダストリーのトランスポーターが去っていっていた。そんな状態に思わずぽかんとロックバイソンがして、周りを見渡せば、残っているのはロックバイソン自身とタイガー&バーナビーの二人だけだ。
「ま、俺も戻るとするか」
小さく肩をすくめると、ぽんぽん、と合図の様にロックバイソンはワイルドタイガーの肩を叩くと、ん?と振り返ったタイガーと、その様子に視線を向けたバーナビーにロックバイソンはフェイスカバーを開ける。
「トレーニングセンターでな!」
 その言葉を一言残して、ロックバイソンもまた迎えに来たトランスポーターに乗り込んだのだった。
「なに?俺とバニーちゃん、ロンリーじゃん」
「二人居るからロンリーって言うのは少しおかしいでしょう」
「いや、うん。そうだけどさ?」
小さくそんな声を上げてけらけら、と虎徹は笑う。
さあて、どうしようか、と思いながら、まあ、会社に戻るんだけどね、なんて思いつつも、あの時から……ジェイクの一件が終わってから、日に日に表情に笑みが増えていっているバーナビーの顔をどこか盗み見るようにしてから、ふっと笑った。
虎徹にとってバーナビーはパートナーという位置付けに居て、他のヒーローに比べて会う機会も、そして一緒に居る時間も多い。会社も同じであるのだから当たり前で、緩やかながら増えていくバーナビーの表情を目にすることが少なくとは言えない虎徹は、そんなバーナビーの表情が増えてきた理由を知っているだけに些細な怒りよりも、まあいいかと妥協するのはいつもの話になってきていた。
 すでに公に知らされていると事実とはいえ、四歳の頃に殺されたバーナビーの両親の犯人を我武者羅に追っていたというバーナビー。今の今まで生きてきた理由はただ、その両親を殺した人物を見つける為、探す為。そして捕まえる為。
作品名:THE SPEAK OF MY HEARTS! 作家名:いちき