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我らが麗しのパンディモニウム

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一度泣き出せば中々止まらない点は、昔と変わりなかった。
つられて泣きたくなるくらい思いきり泣き、瞼を腫らした姉に濡れタオルを渡した雪男は、一部始終を見ていた養父に問うた。


「父さん」

「ん?」

「僕の写真を見せてたの?」

「おう。燐の写真を撮る代わりに」

「頂戴」

「やらねぇよ」


沈黙の天使が、2人の祓魔師の間を通る。
ふっと、戦場を共にくぐり抜けた戦友のように笑い合って、お互いの武器を構えた。

悪魔に立ち向かう時のような真剣さで、親子は対峙する。


「父さんを超えなきゃいけない時が、こんなに早く来るとはね……!」

「ほざくなよ小僧。まだまだひよっ子のお前に、俺を倒せるわけあるか!」

吠えるような応酬をきっかけに、本気のぶつかり合いが始まる。
十分な広さを持つ為に被害にこそ遭ってないものの、すさまじい戦闘音に驚いた少女は、濡れタオルで目を隠したまま「何だ?!」と叫ぶ。


「ジジイに雪男、何してブッ!」

「貴女は黙って目を冷やしなさい☆ 瞼腫らした魔王なんて威厳皆無ですから」


タオルを取ろうとした魔王の呻きと、タオルを更に押しつけた紳士を気取る悪魔の声をBGMに。
男達の馬鹿な戦いは熾烈を極めていく。