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嫉妬

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何時もの会議が終わって皆が雑談している中、アルフレッド・F・ジョーンズは一人イライラしていた。
『気に喰わない・・・・・・イライラするんだぞ、何時も以上に』
原因は目の前で繰り広げられている、フランシス・ボヌフォワと、自分が愛するアーサー・カークランドの何時もの売り言葉に買い言葉の何時ものやり取り。
それを資料を見るふりをしながら、フランシスを睨み付ける。
何時もなら『またやってるのかい、まったく飽きないのかい?君たちは』そう言って間に入り、フランシスを呆れさせ、アーサーに食って掛かられるのが毎度のこと。
フランシスが呆れるのは、割って入るときに何時もアルフレッドがフランシスに敵意むき出しで見せる眼が原因だった。
アルフレッドにしてみたら、無意識でしている事なのだろうが、フランシスからすれば堪ったものではない。
アーサーに食って掛かられ、それが面白くないと敵意むき出しの眼をアルフレッドに向けられるのだから。
それでも何時ものことなのでフランシスは気にしてはいないのだが、今日は状況が少し違う。

睨まれているのを視線で感じ、フランシスは細く笑む。
未だ食って掛かってくるアーサーの相手をしながら・・・・・・。
『若いねぇ、そんなに嫌ならここからアーサーを連れ出せばいいのに』
そう思いながら、アルフレッドに笑いかける。
アーサーに気づかれないように。
いや、この状況で気づくとしても、アーサーは自分に向けられたものだと思うんだろうが。

アルフレッドとフランシスのこのやり取りの発端は、会議が始まる前の事。
何時も一人でくるアーサーが、フランシスと共に会議に来たことが発端。
元々アルフレッドは、何かにつけてお互い突っかかっていく関係なのに、それでもよく飲んだりしてるのが気に喰わなかった。
それが今日は同伴な上に廊下で何時ものようにやり取りをしているのが更に火をつけ、嫉妬からのイライラの標的になった。

アルフレッドのその殺意めいた目線がフランシスにもわかったのか、一瞬笑いそうになったのを堪えた。
そしてわざとアーサーを見ると、突然肩を組み始めた。
「あんだよ、フランシス」
アーサーは突然肩を組まれてびっくりしたものの、それを嫌がるそぶりもなくただ不機嫌になりながらフランシスを睨みつける。
彼のその行動が更にアルフレッドを刺激するとも知らないで。
「んー、ほら、あそこにいるのお前のかわいい弟のアルじゃないか?」
不機嫌な顔のまま睨みつけているアーサーにフランシスはそういうと、会議室の中に居るアルフレッドを指差す。

『・・・・・・いちいちうざったいんだぞ、フランシス』
口に出しては言わないが、アルフレッドは心の中で毒づいた。
【弟】、そう言われたのも面白くない上に、それに反応するのはフランシスを喜ばせるだけだと思ったアルフレッドは、それを聞こえないふりをした。

「おー、アル。今日は早いな。何時もぎりぎりなのに」
そういいつつフランシスの腕を振り払って近づいてくるアーサーがうれしい反面、少しもやもやした気持ちが出てきた。
【かわいい弟】を否定しなかったアーサー、無意識で出す【いつまでたってもかわいい弟】という彼の雰囲気がそんな気持ちを持たせていた。
「うるさいんだぞ、今日はたまたま夢見が悪くて早く起きただけなんだ。それに、何時もじゃないんだぞ」
そう言ってアーサーの言葉にツンと拗ねてみせる。
それをアーサーは優しく笑ってアルフレッドの頭を撫でた。
「何時もぎりぎりじゃねぇかよ。てか、夢見悪かったって、ちゃんと寝れたのか?」
頭を撫でられて一瞬悦んだアルフレッドだったが、【弟として】心配されてるのが嫌でその手を振り払った。
「まったく、アーサーはうるさいんだぞ。ヒーローだからそんなの大丈夫なんだぞ」
そう訳の分からない理由を述べて、その場から立ち去るように廊下へ出ようとした。
「なんだよ、人が折角心配してやってるのに!!」
アルフレッドの背中に向かってそう吼えたアーサーは、踵を返すと会議室にあるソファに乱暴に座った。
それを背中で聞きながら、会議までの間、気分転換でもしようと歩みを進める。
「あ、アル、ちょっと話あるんだけどいい?」
そう言ったのはフランシス。
それを怪訝そうな顔でアルフレッドは見返した。
絶対なんかある。
そう思っても、例え何かあったとしても受けて経つ覚悟が出来ているアルフレッドは、軽く頷いた。
「そういう事だから、ちょっと行って来るよ、アーサー」
不機嫌なままのアーサーに笑顔でそう言うフランシス。
返事代わりにアーサーは軽く手を振った。

そのまま二人は無言のまま会議室がある建物の一番隅の空き部屋に入った。
ここは誰にもばれることなく話が出来る場所だからだ。

「で、話ってなんだい?」
そう切り出したのは怪訝そうな顔のままのアルフレッドだった。
それを笑って、さも何か言いたそうな顔でフランシスはアルフレッドを見る。
「話っていうのは、アーサーの事なんだけど。
 お前、アーサーの事好きなんだろう?
 毎回睨まれるのもうざったいんだよなぁ。
 あんまりもたついてると俺がもらうからな。
 まぁ、ガキに負ける気はしないけど」
そうフランシスは一方的に話をし、笑顔のまま踵を返し入り口に向かった。
アルフレッドは彼を追いかけようと一瞬思ったが、本気で殴りそうだと思い立ち、ぐっと我慢した。
きつく拳を握り締め、フランシスの背中をきつく睨みつける。
「負けないんだぞ、絶対に。アーサーは・・・・・・、アーサーだけは譲れない!!」
背中の言葉を聞き、笑いそうになるのを必死に耐え、返事代わりに手を振る。
さっきアーサーがおんなじことをしてたのをワザと彷彿させるように。

フランシスが出て行って、扉が閉まるのを確認したアルフレッドは、やり場のない怒りと悔しさを握った拳で壁を殴ることで落ち着かせた。
その音を遠くで気ながらフランシスは笑った。
『ほんと若いわぁ。
 さぁ、どう出るか楽しみだな』
そう思いながら、会議室に戻っていった。



それが会議前に起こった出来事。
あの会話の後、アルフレッドが会議室に戻ると、みんな揃っていて、イライラを抱えたまま会議をする羽目になった。
そして、終わったとたんに、アーサーとフランシスのあのやり取り。

そのイライラの沸点がピークに達した頃、アルフレッドは無意識にフランシスからアーサーを遠ざけ、そのままアーサーの腕をつかんで、廊下に出た。
後方で、アーサーが戸惑いの声を出しているのにもかかわらず、それを無視してフランシスに宣戦布告を突きつけられた部屋までアルフレッドは無言で歩いた。

フランシスはそれを一瞬あっけにとられたが、細く微笑んで満足そうな顔をした。
さも、こうなることを予想して。
そして、大勢の前でそんな事をしたアルフレッドの変わりに、皆に事情説明する羽目にもなった。
その説明を聞いた本田菊がカメラを持って追いかけようとしたのを阻止しつつ、アルフレッドに心の中で『うまくやれよ』と呟いた。



部屋にアーサーを押し込めると、そのまま部屋の隅に追い詰める。
そして、アーサーが逃げないように、逃げられないようにきつく抱きしめた。
作品名:嫉妬 作家名:狐崎 樹音