嫉妬
「ちょっ、アル?な・・・・・・なんだよ?どうしたんだよ?」
突然抱きしめられたアーサーは戸惑いを隠せない。
その反面、アルフレッドから抱きしめられたことがうれしかった。
「もう・・・・・・、嫌なんだよ、君に弟として見られるの。
何時になったら俺を一人の男として見てくれるんだい?
俺は君に一人の男として見て欲しくて、君から独立したんだぞ。
兄として愛してた時期もあったよ。
けど、気づいてしまったんだ、君を兄として愛してるんじゃない事に。
兄としてのアーサー・カークランドじゃない、一人の男としてアーサー、君を愛してるんだ。
ねぇ、アーサー・・・・・・、俺を一人の男としてみてくれよ。
もう・・・・・・辛いんだ、君の事好きすぎて・・・・・・。」
きつくアーサーを抱きしめながら、アルフレッドは熱に浮かされたように自分の思いのたけをぶつけた。
それがアーサーにどう映るのか考えもしないで。
「アル・・・・・・、アルフレッド・・・」
そうアーサーに呼ばれてアルフレッドは我に返った。
眼下に映るその愛しい者の顔は、突然のことで困惑してるかのようにアルフレッドに映った。
「ごめん・・・・・・。
変なこと言ったね。
忘れてくれていいよ。」
そういって、アルフレッドはアーサーを放した。
そして、アーサーの顔を見ることなく、そのまま部屋のドアへと向かう。
「え・・・・・・?、
あっ・・・・・・ちょ、ちょっと待てよ、アル、アルフレッド」
アーサーがそう呼びかけるのも無視してアルフレッドは部屋を出た。
言ってしまった事への後悔の念を抱えて。
一人残されたアーサーは、アルフレッドを追いかけたかった。
けど、追いかけられなかった。
自分のことをそんなに想っていてくれた事が信じられなかった。
何より、突然のことで足が動いてもくれなかった。
「・・・・・・アルの馬鹿。
俺の話くらい聞いていけよな・・・・・。」
そうアーサーは呟いて床に座り込む。
一気に緊張が解けたの如く。
そしてその眼から涙が零れた。
それはうれしさなのか、はたまた別の意味でなのか。
それはアーサーにしか分からない。
END