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『四』と背に書かれた隊首羽織を着た女性は、雪の降りしきる中、双極の丘にてとある人物を待っていた。

　
　予定よりも大幅に遅れてしまった…！
　尸魂界を全力疾走で、時折瞬歩を使いながら、走っている少年の名は『黒崎一護』…旅禍である。先日、藍染を倒し現世の、尸魂界の危機を救った人物でもある。
「おぉ、一護！！一発やんねぇか！」
「わりぃ、急いでんだ！」
一角の誘いはとても魅力的だが、双極の丘にて人を待たせてしまっている。怒らせると背後から黒いオーラが立ち込めいつも慈母のような慈愛に満ちた笑みが一気にどす黒い笑みになる女性だ。
　もう１時間近く遅れてしまっている。
「ハァハァ…卯ノ…」

　雪降りしきる中、黒く艶やかな髪には雪が覆いかぶさっている。白い肌は、寒さのためか雪よりも青白く感じた。唇もこころなしか青く感じるのは気のせいだろうか？
　目が伏せられ、長い睫毛が時折瞬いている。睫毛にも雪が時折付き、その度に彼女は手で目をこする。その仕草はまるで、泣きそうなのを必死に堪えて、目から流れそうな涙をぬぐっているようにも感じた。いつも母のような寛容さを感じる背はこころなしか少し悲しそうでもあった。