好きなんだ。
「好きです」
「は?」
言った瞬間に考える時間すらもなく、返ってきたのは『馬鹿にしてるのか』という気持ちがとても伝わる疑問符だった。・・・ストレート過ぎたか?女性はもう少しキザったらしい言い方を好むものなのだろうか?とほんの少し見当違いなことを考えてみたりする。
しかし、言ってしまったものは仕方が無い。簡単に取り消せるわけもないし、そんな軽々しい気持ちで彼女に想いを伝えたわけでもなかった。目の前の卯ノ花を見る。それだけを言いに、からかうために自分を呼んだのか、とでもいいた気に、というかその心の声が全面的に表情に出ていた。その顔もまた、美しいと思った。
「ですから、」
今度はちゃんと彼女のガラス玉よりも濁りのないであろう美しい湖面のような瞳を直視して。
「貴女のことが」