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楽しいクッキング

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「なんだよ、コノヤロー。火に掛けたほうがはぇじゃねぇかよ。」
湯煎するのは知ってはいるが、手っ取り早くやろうとしたロヴィーノ。
その二人の話を聞いていたフェリシアーノはにっこりと笑った。
「・・・兄ちゃんも、アーサーも、そんなことしてるから出来ないんだよ?分かってる?きちんと指示に従ってもらわないと、俺・・・何するかわかんないよ?」
そういい笑顔でアーサーとロヴィーノを見つつチョコレートをかき混ぜるのだけは止めない辺りがフェリシアーノか。
その笑顔を見た二人は、無言でチョコレートを湯煎し始めた。

「さて、あとは、柔らかくなったクリームチーズと、溶かしたチョコレートを合わせ混ぜて、それを冷蔵庫に入れ、手でまるめやすくなるまで冷やし固めます。そしたら、其の間にコーティング用チョコレートを溶かして、インスタントコーヒーを入れ混ぜておきましょうか。
 其の後は、冷やして丸めやすくなったクリームチョコを溶かしたチョコレートに落とし絡めて、冷やした天板に落として、それにココアパウダーをかけたら出来上がりです。
 さくさく進めてしまいましょうね。」
菊はそう言うと、フェリシアーノを省いた3人に説明していった。


「ヴェー、ラッピングも出来たし、後は渡すだけだねぇ。」
フェリシアーノがそういうと、目の前に出来上がった各々のトリュフチョコレートを眺める。
アーサーは失敗もせず、綺麗に出来たことへの思いで胸がいっぱいだった。
味見もしっかりフェリシアーノと菊にしてもらったのだから、問題はないはず。
「そういえば、アーサーはアルフレッドに、兄ちゃんはトーニョ兄ちゃんに渡すのは分かるけど、マシューは誰にあげるの?」
「ちぎー、誰がトーニョにやるっていったんだよ、この馬鹿弟!!」
そういうロヴィーノを無視して、フェシリアーノはマシューに小首を傾げて聞いた。
遠くのほうでアーサーが綺麗にラッピングした箱をじっときらきらした眼のまま眺めていた。
「え?あの・・・、その、えっと・・・。」
そう言いつつ、マシューは真っ赤になりながら俯く。
それをじっと見つめる、フェリシアーノと菊。
「その、えっと・・・ふ、フランシスさんに。」
か細い声で呟くようにそう言うマシュー。
それを聞いた菊の眼は爛々と輝いていた。
「ヴェー?フランシス兄ちゃんに?マシュー、兄ちゃんのことすきなのぉ?」
指を咥えつつ、フェリシアーノはじっとマシューを見つつそう聞いた。
それを真っ赤になったまま、俯いたまま軽く頷く。
そして、手元に居たクマ二郎を抱き上げ、彼の頭に顔を埋めた。
「ヴェー、マシュー可愛い」
そういうとフェリシアーノはマシューに抱きつく。
菊はそのやり取りをじっと微笑ましく見ていた。
他の2人はというと、二人とも出来上がったものをじっと物思いにふけるように見つめたまま。
どう渡そうかと思案しているのもあるのだろうが、アーサーはよほどうまく出来たのが嬉しかったらしい。
「トリュフチョコレートも出来たことだし、これから渡しにいこうよ。」
マシューを抱きしめたまま、フェリシアーノがそう言い出した。
「い・・・今からかよ、今から行ったらあっち夜じゃねぇか、馬鹿弟。」
我に帰ったロヴィーノがそう突っかかる。
それでも気にしないフェリシアーノはそれに笑顔を向けた。
「だって、早く食べてもらいんだもん。それに出来上がったら、早く逢いたくなっちゃったし、ね?」
そういう弟に兄は何も言えなかった。
逢いたいのは自分も同じだからだ。
「そういう訳で、俺たち帰るねぇ。ほら、アーサーもアルフレッドの所いくんでしょ?」
フェリがそういうと、アーサーはやっと我に帰った。
「ん?ああ、そうだな。」
まだ夢見心地のアーサーは、フェリシアーノの問いに何も考えずそう答える。
それを黙って聞いていた菊は、各々に紙袋を差し出した。
「これ、アルフレッドさんとアントーニョさんと、フランシスさんとルートヴィヒさんに渡してください。今日頂いたもののお礼が入ってます。あ、開けちゃだめですよ?」
笑ってそういいつつ、菊は4人を見た。
それを黙って4人は頷き、紙袋を各々受け取る。
そして、作ったものと手荷物と身支度を早々に終えて、4人は菊宅を後にした。


菊とぽちくん以外居なくなった静かな部屋。
其の隣のふすまを開けると、そこには白髪の背の高い男が一人。
「師匠、すみません、変なことお願いしたりして。あの場でビデオを一人で回すのは至難の業でしたから、助かりました。」
そういうと、ケセセと笑ったその男、ギルベルト・バイルシュミットは菊の頭を撫でた。
「気にすんな。けど、家に帰れなくなっちまったなぁ。フェリシアーノちゃんがうちに行くってことは。」
そう言いつつ、別段困った感じも見せずに、またケセセと笑う。
「今日は泊まっていってください。あ、これ師匠にです。」
そう言うと菊は先ほど作っていたチョコをギルベルトに差し出す。
それをひょいと受け取ると、小首をかしげた。
「なんだ、俺様じゃなくて別にくれてやる奴いるんじゃねぇのか?」
そう言いつつも、貰えたことに嬉しさは隠せない。
「師匠の為に作ったんですから、いいんですよ。さぁ、夕食の支度をしますから、ポチくんと遊んでまっていてください。」
菊はそれだけ言うと、踵を返し、台所へ向かった。
困惑したギルベルトだけを残して。

台所で一人笑った菊は、皆がうまくいく事を願った。





END
作品名:楽しいクッキング 作家名:狐崎 樹音