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誕生日

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そういいながら、彼はするりと俺の腕を抜けて飛び降りる。
それを身をかがんで笑いながら見下ろした。
「じゃーな、アルフレッド。
 なんだ、その・・・嬉しかったぜ、ばーか。」
そう悪態というか・・・感謝の言葉を言うと、彼は森の奥へと走っていく。
それを笑いながら見送ると、俺は考え込んだ。
ブリタニア・・・・。
アーサーの遠い昔の呼び名だったはず。
だとしたら・・・彼はアーサーそのものなのかなぁ。
そんなことを考えながら、ふとジャケットのポケットに手を入れる。
硬い何かが当たったソレを取り出すと、小さいエメラルドが付いたネックレスが出てきた。
見覚えもなければ入れた記憶も無い。
あるとしたら、さっきの彼が降りるときになんか入れたような気がしたことだけだ。
そのペンダントの裏をみると、『I dedicate it to Britannia that I love and respect  Arthur・Penn dragon(我が敬愛するブリタニアに捧ぐ  アーサー・ペンドラゴン)』と書いてあった。
アーサー・ペンドラゴンって・・・、アーサーの家の伝説の王の名前だったような・・・。
そう考えていると、ふと視界がぐらつく。
そして、俺はそのまま気を失った。


「・・・ル、アル、アルフレッド?」
ふと眼を覚ますと、心配そうにアーサーの顔があった。
今の自分が置かれている状況を把握しようとがんばってみる。
アーサーの膝枕で寝てた・・・らしい。
不思議な夢を見た。
アレはなんだったのだろう。
「アル?」
何も言わない俺が心配なのか、再度アーサーが声をかけてきた。
「んー、よく寝たんだぞ。
 なんだい、そんな顔して。」
とびっきりの笑顔で、アーサーを見上げる。
それに安心したのか、安堵の顔が見えた。
「べ・・・別に、なんでもねぇよ。」
そういいつつそっぽを向いた。
アーサーのあの顔を見る限り、俺はうなされていたらしい。
そんな彼の態度をみて、俺は微笑むと、手を上げ、彼の頬に触れようした。
其の刹那チャラりと小さな音がした。
握り締めていたその手には、ブリタニアが勝手にポケットに入れたペンダント。
それを見て俺はびっくりした。
思わず固まるくらいに。
夢だと思ってた。
けど、夢でもらったはずのペンダントがここにある。
俺の行動を不審に思ったのか、アーサーが俺からそのペンダントを取り上げた。
そして、その顔はだんだん驚いた顔になっていく。
「な・・・あれ、なんでこれがここに?」
動揺を隠せないアーサーは目を白黒させていた。
「夢でさ、ブリタニアに逢ったんだ。
 そしたら、それをポケットに入れたみたいなんだ。
 夢でそれを取り出して眺めてたら眼が覚めたんだけど・・・。」
そう言った俺はアーサーを見上げる。
そこには驚きの顔と、今にも泣きそうな眼があった。
それに慌てて、起き上がると、俺はそのままアーサーを抱きしめる。
「遠い昔、こんな俺を敬愛してくれたアーサー王がくれたものなんだ。
 嫌なことがあって、森に一人で居たときに、お前に似た奴にあって、その時無くしたと思ってた。
 アレは・・・あのアルフレッドはお前だったのか?」
頭が混乱したままのアーサーが俺の胸に顔を埋めたまま聞いてきた。
俺だってそうなのかはわからない。
けど、アーサーが言ってることと、俺が体験したことは少し似ていたから。
何より、こうしてアーサーを抱きしめて解った、あのとき感じた安心感と、ブリタニアから感じた愛おしさが、あの時あったあの子がアーサーだと教えてくれる。
「んー、信じたくはないけど、そうだとおもうんだぞ。
 こうして、物的証拠もあるわけだしさ。
 君のいう精霊さんの仕業かもしれないけどね。
 けど、今度ばかりはもし精霊の仕業だとしたら、感謝しないとね。」
そう言って俺はアーサーをきつく抱きしめる。
何のことだか解らないアーサーは、顔を上げると、俺の顔をじっと見る。
森で出会ったあのブリタニアと同じ瞳で。
「3/3日。
 この日が君は大切な日だとおもうと言ってたよね?
 俺、わかっちゃったんだぞ。
 正確には君に・・・ブリタニアに教わったんだけどさ。
 アーサー、3/3日は君の誕生日なんだぞ。
 何年に生まれた・・・までは解らないけどさ」
微笑みながらそういうと、俺はアーサーの頭を撫でる。
夢で感じたあの感触と同じ。
あっけに取られて、未だに頭が整理し切れていない彼はぽかんとしている。
そんな彼を微笑みながら見つめ、そして軽く額に口付ける。
「アーサー、誕生日おめでとう。
 生まれてきてくれてありがとう。
 俺を育ててくれてありがとう。
 何より、俺を愛してくれてありがとう。
 アーサー、ずっと俺の傍に居て。
 離れていかないで。」
そういいながら、アーサーの頬に、額に唇に、軽くキスを繰り返す。
そして、ぎゅっと抱きしめる。
アーサーは何も言い返してこない。
けど、抱き返してきたその腕は、密着しているその体は震えていた。
彼が泣いているのが解った。
そんな彼をみて、俺は安心していた。
アーサーが泣いてる理由が苦しみではなくうれし泣きだとわかるから。

ねぇ、アーサー、ずっと君を守らせてよ。
もう二度とあんな思いしなくていいように。
二度とあんな思いは君にさせないから。

寂しがり屋のアーサー。
ずっと傍に居るから
俺のこと見捨てないでくれよ。
 



END
作品名:誕生日 作家名:狐崎 樹音