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【夏コミサンプル】Fragment【臨帝】

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「折原臨也、こいつには近付くなよ」
 入学式を終え、久々に会った友人と教室で雑談中、唐突に切り出された言葉。帝人はぱちりと一度瞬きし、「おりはらいざや?」と確認するように聞き返す。友人――正臣は、大きく頷き眉間にしわを寄せ、話を続けた。
「そうだ。あいつとは幸いクラスは分かれてっけど、絶対関わるなよ。ろくなことがないから」
「えっと……どんな人なの」
「何考えてるかわかんないっていうか、人のことを簡単に遊びに使ったり……あ~、とにかくヤな奴!」
「何かされたの?正臣も」
 あまりの言い様に二人の間に因縁でもあるのか、と帝人が問いかける。すると正臣は、あからさまにうっと気まずそうに唸り、ぼそぼそと呟く。
「中坊の頃にちょっと関わったことがあって……その時少しトラブって……今の彼女関係でイロイロと」
「え、正臣彼女いたの。そういうことは教えてよ!あ、もしかしてその折原って人と女の子の取り合いに?」
「そういうわけじゃないが……うん、説明難しいからこの話は終わりな」
「何それ、正臣から言いだしたのに」
「男とは秘密を背負って生きていく生き物なのだよ、帝人!」
「……へぇ」
「もっと何か反応くれよ!寂しいだろ……まぁ、彼女については話してなくて悪いな。照れくさくって。今度  ちゃんと紹介するから、くれぐれも手を出さないように」
「むしろ正臣何かの恋人になってくれてありがとう、って菓子折り持っていくよ」
「お前は俺のお母さんか!いや、それもいいな……俺と沙樹の新婚家庭に姑帝人の三人暮らし。俺が朝起きて階段を下りていくとキッチンから楽しそうに朝食を作る二人の声が」
「まーさーおーみ」
 思考だだ漏れで妄想を呟く正臣に、蹴りかチョップで突っ込みを入れようと帝人が思ったその時、つんざくような轟音が耳に飛び込んできた。ビクッと身体を震わせ帝人が音がした場所――グラウンドを窓から見下ろす。土煙が立ち上る中見えたのは、朝登校してきた時とは全く真逆の位置に逆さまで転がっている朝礼台。それを背に睨みあうように相対する、自分と同じ年頃の少年だった。
「うわぁ……噂をすれば」
「え?」
「ほら、言っただろ。折原臨也。あの黒い髪の方が折原で、反対側がもう一人の要注意人物。平和島静雄」
「へいわじま、しずお」
「平和島の方はすげぇ怪力らしいけど……マジだったみたいだな。どうせ折原がちょっかい掛けたんだろうけど」
 グラウンドでは静雄が近くにあるものを手当たり次第に投げ、臨也がそれを紙一重で見事に避ける、と正直見ているだけで心臓に悪い攻防戦が繰り広げられていた。今まで見た事ない光景に帝人が絶句していると、校舎から現れた教師達に静雄が顔を歪め、大人しくなっていく姿が見えた。臨也も高らかに笑い声をあげながら、教師に声を掛けられたのか校舎へと小走りで入っていった。
 その途中、臨也が校舎を見上げ、窓から見学している帝人達に視線を移した気がした。気がした、というより確実にこっちを見たな、と帝人は軽く息を吐いた。
「わかったろ?平和島の方は普段大人しいかもしれないけど、怒らしたら何が起こるかわからない。折原は絶対ダメだ。近付くな。帝人なんてコロッと騙されちまうぞ!」
「はいはい、わかったよ」
「……とか言って、なんでそんな楽しそうな顔してんだよ」
「え」
「この非日常好きが!マジでシャレにならないから、あいつには関わるなよ!」
「わかったって……大丈夫だよ。折原君だって暇じゃないんだから僕のことなんて気にも掛けないよ。何か住む世界違う、って感じだし」
「なら、いいけど」

 心の中で帝人は正臣に謝った。忠告は守れそうにない……というか既に手遅れだよ、と。
 
 帝人の答えにまだ心配だと言わんばかりに口を尖らせる正臣に苦笑しつつ、そろそろ帰ろうと声をかけ、帝人は自分の鞄に手を伸ばした。

(とりあえず帰ったらいろいろ問い詰めよう)


  * * *


「みっかど!」
 バタンッ、と盛大な音をたて部屋に駆けこんで来たいつもの姿に無意識にため息が出た。慣れたとはいえ、これから毎日のようにこれが繰り返されるかと思うと、少しウザい。
「鍵掛かってたはずだけど」
「合い鍵あるから」
「僕まだ渡してないよね」
「俺と帝人の仲じゃないか。ていうか、まだってことは渡す予定あったの?マジで。ちょうだい」
「不法侵入者に渡すモノは何もない。早く帰って頂けませんか折原君?」
「寂しいこと言わないでよ。てか、ここでまでそれやめて。臨也って呼んでよ」
「親しき仲にも礼儀ありって」
「お邪魔してます、竜ヶ峰帝人君」
「……ああもう。いらっしゃい、臨也」
 最初からそう言えばいいのにと呆れつつ、やっと名前を呼んだと目の前の人物――折原臨也が笑うので、つられて帝人も笑みを零した。

 折原臨也と竜ヶ峰帝人は友達である。事あるごとに臨也は自分達が親友であると主張するし、帝人も臨也と一番仲いいのは自分だろうと自負している。そんな程度には二人の仲はいい。
 出会いは中学一年。小学校時代を共に過ごした正臣と学区の問題で中学が分かれ、新たな交友関係を広められるか不安な帝人に声をかけてきたのが臨也だった。その容姿ゆえに周囲から注目の的だった臨也に話しかけられたことに帝人は驚いたが、次々話題が提供される臨也とのやりとりは楽しく、新しく出来た友人の中で臨也が一番気を許せる存在になるのに時間はかからなかった。一方、臨也は趣味の人間観察の為、適当に選んだ人間と友達ごっこをしてみようと帝人に近付いたのだが、大人しい外見と反対に容赦ない毒舌や、たまに見せる好奇心に溢れた眼や、突拍子もない行動に興味を持ち、このまま交友を深めていくのもいいかな、なんて思っていた。
そうして普通の友達として過ごしていたのだが、ある日臨也の当初の思惑がばれた。その結果殴る蹴るの盛大な大ゲンカを繰り広げ、一時期は冷戦状態にもなったのだが、なんとか和解した二人は再び友達というポジションに収まった。その後二人の仲は親友と言えるまでに深まり、今日に至るというわけだ。
「うーん、久々の帝人充」
「昨日もずっと一緒だっただろ」
 机に向かい、パソコンを操作する帝人に後ろから覆いかぶさるように臨也は抱きついている。正直邪魔で鬱陶しいことこの上ないが、過剰な臨也からのスキンシップはいつものことなので、帝人も気にしないことにしている。出会った当初の好青年を気取っていた臨也はどこに行ったのだろうと思ってしまう程のデレっぷりも、慣れてしまえば放置できる範囲だ。
「足りない。学校で話せないのはやっぱりつまんないな……やっぱりアレ、止めにしようか」
「臨也から言いだしたんでしょ?僕は結構面白かったけど。臨也の喧嘩に巻き込まれずに済むし、平和でよし」
「あ、あれ見てたんだ。ひどいなぁ、俺が生命の危機に瀕しているのを黙って見てるなんて」
「明らかに楽しんでたじゃん、あの状況。それに、そういう約束でしょ」
「ま、そうだけどさ」
 ゲームをしない?と臨也が帝人に言ったのは高校入学直前。卒業式も終え、またひとつ大人になった自分や、これからの新たな生活に胸を膨らませていた帝人を、今日のように臨也が訪ねて来た時のことだ。