人魚
その顔は、ひどく怒っているのが露になっていた。思わずエドワードの喉がひきつった音を立てた。
「―――こいつは、君に怪我をさせたんだぞ」
言われて、エドワードはきょとんとする。自分では無傷のつもりなのだが、どこかすりむきでもしたのだろうか。
と、理解できていないエドワードに溜息をくれて、ロイはす、と手を伸ばした。そして、丸い頬に触れる。
「…頬が切れてる」
「………」
何と言ったらいいのかわからず、エドワードは困惑気味に眉尻を下げた。しかし…。
「…大丈夫か?…鋼の」
続けて言われた言葉に、頭を殴られたような、大きい衝撃を受けた。