【円風円】好きだから
あの日俺は円堂を傷つけた。
誰よりも大切で
誰よりも大好きで
誰よりもそばにいてほしかったのに
円堂もそう想ってくれていると知っていたのに
―――――――――……俺は円堂を突き放した。
俺らが中2の時……
「円堂……俺、円堂のことすきだ。」
「……え?」
円堂に告白した。
「ははっ……。気持ち悪いよな。でも、ごめん。俺、ずっと円堂が好きだった。」
「いやっ…そんな、きもちわるいとか……。」
「……」
「ていうか……、俺も風丸のこと好きだ!!」
「は?ほんとか??うそ?」
「うそつくわけないだろ!!風丸、俺と付き合ってくれるか??」
「あぁ……!!」
告ったのは、俺からだった。
小さいころから好きだった。
はじめは、友達として親身すぎるだけだと思った。
でも、中学入ったときに円堂が好きだって自覚した。
ずっと好きだった相手と付き合えた。
嬉しくて嬉しくて、毎日が楽しかった。
だから忘れていたんだ。
一番重要なこと…。
―――――――――俺たちは『男同士』だった…………。
俺たちが付き合って1年が過ぎ、中3になった……
俺は夏未に呼び出された。
最初は告白かと思ったが雰囲気的に違うとわかった。
「で、何の用?」
「風丸君……あなた、円堂くんと付き合ってるわね?」
「え……あ、まあ」
「どういうことかわかってるかしら?」
「え……?」
「あなたたち男同士でしょう。将来傷つくのはあなたたちよ?
男同士では結婚もできない。子供だって産めないわ。ずっと一緒にいるのは無理よ。」
――――――――――――なにも言えなかった。
正論を言われた。夏未はなにも間違っていなかった。
だからこそ、余計に腹が立った。
俺は声を荒げた。
「そんなこと……わかってる!自分たちが一番良くわかってる!!それも乗り越えて一緒にいようって……。死ぬまで一緒って……。」
うそ。わかってない。『乗り越える』もしかしたら出来るんじゃないかって期待してた。
「無理に決まってるでしょう。」
「何度も言うなッ!!」
俺はそのまま走り去った。
もう聞きたくなかった。
否定されたくなかった。
現実を…見たくなかった。
でも、その時俺は思った。本当にこのままでいいのか?夏未の言う通りなんじゃないか??
今は中3……。受験もあるし、卒業する。
別れるいい機会なんじゃないか??
そんなバカなことを考えた。
その日の帰り道。俺たちは手をつないで帰った。
「円堂。」
「ん?なんだ?」
「お前今、幸せか?」
「おぅっ!!幸せだ。風丸といれるし。…勉強は嫌だけどな。」
苦笑しながら、そう答えた円堂を見て自分はなんて馬鹿なんだと思った。
でも、そんな円堂を見て、ますますこのままではいけないと思ったのも事実だった
数日後。今度は俺が夏未を呼び出した。
「なんのようかしら?」
「あのさ、この前のことなんだけど…。」
「……」
「俺、正直ビビった。焦った。多分、お前の言ってること正しいと思う。だから焦った。」
「じゃあ…」
おれは、夏未の言葉を遮って、話を続けた。
「でも…やっぱり、どうしたらいいかわからない。悩むようなことじゃないことくらいわかってるんだ。
道は一つしかないって…わかってるんだ。」
「だったら……だったら!その道に進めばいいじゃない!!」
「それができたらもうとっくにしてんだよっ!!円堂のこと好きだ。幸せになってほしい。そう思ってるよ。
だからこそ、好きだからこそ別れないといけないことわかってる。」
「じゃあなんで…」
「離したくない…。俺、あいつのこと離したくないんだ。
やっと、付き合えた。ただでさえ、男同士って壁が邪魔してて…やっと、想いを伝えられた。
まさか、OKしてくれるなんて思ってなかったから…。それからの日々は幸せすぎて…」
もう戻れなかった。すぐに抜け出せるようなもんじゃない。
「それはあなたの自己満足じゃなくて?」
「え…?」
夏未がなにを言ってるのかわかんなかった。
自己満足…?
それは、円堂は俺を好きじゃないって言ってるのか?
数日前に円堂とかわした言葉を思い出す。
『お前今、幸せか?』
『おぅっ!!幸せだ。風丸といれるし。…勉強は嫌だけどな。』
あれは、うそだった…?
二人同じ気持ちはって信じていたのは俺だけ??
「私、円堂くんのこと好きよ。」
夏未は俺の目をまっすぐ見てそう告げた。
――――――……やっぱり…。何となく予想していた。
「俺だって負けない。俺だって円堂のこと好きだ…。」
「そんな情けない顔してるあなたには負ける気がしないわ。」
「なっ…」
「悪いけど…あんな言葉だけでうろたえて別れるか迷ってるようなあなたに、円堂くんと付き合う資格はないわ。」
「……」
「円堂くんを信じられないなら…なにがあっても離れられないと思わないのなら、今すぐ円堂くんから手を引きなさい。」
そういうと、夏未は去って行った。
とり残された俺は動くことができず、ただただ立ちつくした。
結局、あれから円堂との関係は変わらずズルズルと迷いを引きずっていた。
そして、明日はいよいよ卒業式。
昨日一晩考えた。……答えは出た。
「円堂…ちょっといいか?」
「ん?なんだ??」
卒業式終了後、2人で帰った。
その途中、円堂に話した。俺の出した結論と、今の俺の気持ちを。
「なぁ、俺たち…終わりにしないか??」
「え…?なに…いってんの…?」
「ごめんな。俺から告ったのに…。」
「俺のこと…」
「嫌いになったとかじゃない。」
「んじゃ、なんで……??」
「俺たち、男同士だ。高校も離れる。もう子供じゃないんだ。それだけ。」
「そっか…。わかった。今まで楽しかったよ。ありがとう。」
「ほんとにごめんな。」
「んな顔すんなよ!!でも、俺まだ風丸のこと好きだから!!別れても忘れない!!風丸に彼女できても…。風丸が俺のこと忘れても…。だから、いつでも戻ってこいよ!」
んなことあるわけねぇだろ…。
俺が円堂を忘れる??そんなの、死んだって忘れねぇよ。
「だから……、今までどおりに接してくれると嬉しいんだけど…。」
「ああ、当たり前だろ。」
「おうっ!彼女できたら教えろよっ!!風丸モテるもんな!!すぐ彼女できるんだろうなー。いいなぁ。」
そういった時の円堂は泣いていた。
俺が泣かせた。ごめんな円堂。ごめん。ゴメン…。
「ごめんな…。」
俺も泣いた。
――――――――――……10年後
「メールだ。円堂?」
≪明後日にサッカー部のみんな集めて同窓会するんだけど、来いよ!!≫
「楽しそうだな…。」
≪いくよ。たのしみだな。≫
別れてから約10年が経つ。円堂のことを忘れられるわけの無い俺は彼女なんているはずもなく…。
円堂に会えるのを少し楽しみにしながら明後日を待った。
円堂に彼女がいないことを願って…。
今日は同窓会。
店に着くともうほとんどの人が来ていた。
「おー!!風丸!!」
「久しぶり!!円ど…う」
「風丸君。ひさしぶり」
大声で俺を呼んだ円堂の横には
―――――――――……夏未がいた……。
誰よりも大切で
誰よりも大好きで
誰よりもそばにいてほしかったのに
円堂もそう想ってくれていると知っていたのに
―――――――――……俺は円堂を突き放した。
俺らが中2の時……
「円堂……俺、円堂のことすきだ。」
「……え?」
円堂に告白した。
「ははっ……。気持ち悪いよな。でも、ごめん。俺、ずっと円堂が好きだった。」
「いやっ…そんな、きもちわるいとか……。」
「……」
「ていうか……、俺も風丸のこと好きだ!!」
「は?ほんとか??うそ?」
「うそつくわけないだろ!!風丸、俺と付き合ってくれるか??」
「あぁ……!!」
告ったのは、俺からだった。
小さいころから好きだった。
はじめは、友達として親身すぎるだけだと思った。
でも、中学入ったときに円堂が好きだって自覚した。
ずっと好きだった相手と付き合えた。
嬉しくて嬉しくて、毎日が楽しかった。
だから忘れていたんだ。
一番重要なこと…。
―――――――――俺たちは『男同士』だった…………。
俺たちが付き合って1年が過ぎ、中3になった……
俺は夏未に呼び出された。
最初は告白かと思ったが雰囲気的に違うとわかった。
「で、何の用?」
「風丸君……あなた、円堂くんと付き合ってるわね?」
「え……あ、まあ」
「どういうことかわかってるかしら?」
「え……?」
「あなたたち男同士でしょう。将来傷つくのはあなたたちよ?
男同士では結婚もできない。子供だって産めないわ。ずっと一緒にいるのは無理よ。」
――――――――――――なにも言えなかった。
正論を言われた。夏未はなにも間違っていなかった。
だからこそ、余計に腹が立った。
俺は声を荒げた。
「そんなこと……わかってる!自分たちが一番良くわかってる!!それも乗り越えて一緒にいようって……。死ぬまで一緒って……。」
うそ。わかってない。『乗り越える』もしかしたら出来るんじゃないかって期待してた。
「無理に決まってるでしょう。」
「何度も言うなッ!!」
俺はそのまま走り去った。
もう聞きたくなかった。
否定されたくなかった。
現実を…見たくなかった。
でも、その時俺は思った。本当にこのままでいいのか?夏未の言う通りなんじゃないか??
今は中3……。受験もあるし、卒業する。
別れるいい機会なんじゃないか??
そんなバカなことを考えた。
その日の帰り道。俺たちは手をつないで帰った。
「円堂。」
「ん?なんだ?」
「お前今、幸せか?」
「おぅっ!!幸せだ。風丸といれるし。…勉強は嫌だけどな。」
苦笑しながら、そう答えた円堂を見て自分はなんて馬鹿なんだと思った。
でも、そんな円堂を見て、ますますこのままではいけないと思ったのも事実だった
数日後。今度は俺が夏未を呼び出した。
「なんのようかしら?」
「あのさ、この前のことなんだけど…。」
「……」
「俺、正直ビビった。焦った。多分、お前の言ってること正しいと思う。だから焦った。」
「じゃあ…」
おれは、夏未の言葉を遮って、話を続けた。
「でも…やっぱり、どうしたらいいかわからない。悩むようなことじゃないことくらいわかってるんだ。
道は一つしかないって…わかってるんだ。」
「だったら……だったら!その道に進めばいいじゃない!!」
「それができたらもうとっくにしてんだよっ!!円堂のこと好きだ。幸せになってほしい。そう思ってるよ。
だからこそ、好きだからこそ別れないといけないことわかってる。」
「じゃあなんで…」
「離したくない…。俺、あいつのこと離したくないんだ。
やっと、付き合えた。ただでさえ、男同士って壁が邪魔してて…やっと、想いを伝えられた。
まさか、OKしてくれるなんて思ってなかったから…。それからの日々は幸せすぎて…」
もう戻れなかった。すぐに抜け出せるようなもんじゃない。
「それはあなたの自己満足じゃなくて?」
「え…?」
夏未がなにを言ってるのかわかんなかった。
自己満足…?
それは、円堂は俺を好きじゃないって言ってるのか?
数日前に円堂とかわした言葉を思い出す。
『お前今、幸せか?』
『おぅっ!!幸せだ。風丸といれるし。…勉強は嫌だけどな。』
あれは、うそだった…?
二人同じ気持ちはって信じていたのは俺だけ??
「私、円堂くんのこと好きよ。」
夏未は俺の目をまっすぐ見てそう告げた。
――――――……やっぱり…。何となく予想していた。
「俺だって負けない。俺だって円堂のこと好きだ…。」
「そんな情けない顔してるあなたには負ける気がしないわ。」
「なっ…」
「悪いけど…あんな言葉だけでうろたえて別れるか迷ってるようなあなたに、円堂くんと付き合う資格はないわ。」
「……」
「円堂くんを信じられないなら…なにがあっても離れられないと思わないのなら、今すぐ円堂くんから手を引きなさい。」
そういうと、夏未は去って行った。
とり残された俺は動くことができず、ただただ立ちつくした。
結局、あれから円堂との関係は変わらずズルズルと迷いを引きずっていた。
そして、明日はいよいよ卒業式。
昨日一晩考えた。……答えは出た。
「円堂…ちょっといいか?」
「ん?なんだ??」
卒業式終了後、2人で帰った。
その途中、円堂に話した。俺の出した結論と、今の俺の気持ちを。
「なぁ、俺たち…終わりにしないか??」
「え…?なに…いってんの…?」
「ごめんな。俺から告ったのに…。」
「俺のこと…」
「嫌いになったとかじゃない。」
「んじゃ、なんで……??」
「俺たち、男同士だ。高校も離れる。もう子供じゃないんだ。それだけ。」
「そっか…。わかった。今まで楽しかったよ。ありがとう。」
「ほんとにごめんな。」
「んな顔すんなよ!!でも、俺まだ風丸のこと好きだから!!別れても忘れない!!風丸に彼女できても…。風丸が俺のこと忘れても…。だから、いつでも戻ってこいよ!」
んなことあるわけねぇだろ…。
俺が円堂を忘れる??そんなの、死んだって忘れねぇよ。
「だから……、今までどおりに接してくれると嬉しいんだけど…。」
「ああ、当たり前だろ。」
「おうっ!彼女できたら教えろよっ!!風丸モテるもんな!!すぐ彼女できるんだろうなー。いいなぁ。」
そういった時の円堂は泣いていた。
俺が泣かせた。ごめんな円堂。ごめん。ゴメン…。
「ごめんな…。」
俺も泣いた。
――――――――――……10年後
「メールだ。円堂?」
≪明後日にサッカー部のみんな集めて同窓会するんだけど、来いよ!!≫
「楽しそうだな…。」
≪いくよ。たのしみだな。≫
別れてから約10年が経つ。円堂のことを忘れられるわけの無い俺は彼女なんているはずもなく…。
円堂に会えるのを少し楽しみにしながら明後日を待った。
円堂に彼女がいないことを願って…。
今日は同窓会。
店に着くともうほとんどの人が来ていた。
「おー!!風丸!!」
「久しぶり!!円ど…う」
「風丸君。ひさしぶり」
大声で俺を呼んだ円堂の横には
―――――――――……夏未がいた……。
作品名:【円風円】好きだから 作家名:のん