Surprise！
ベルゼブブ優一は眼をさました。
まぶたを開ける。
ぼんやりとした視界。
魔界のベルゼブブ家の城の自分の部屋、ではない。
ベッドで寝ているのは確かだが、このベッドは自分のものではないようだ。
それに。
自分の隣に、なにかがある。
いや、だれかがいる。
やわらかな温もり。
優しくて、少し甘い、におい。
これは……。
もしかして……。
もしかして、自分とベッドを共にしているのは、女性ではないのか……？
眠気が一気に消え去った。
ベルゼブブは表情をひきつらせ、強張っている首をギギギギと無理に動かして、隣にいる者を確認する。
そこにいたのは。
やっぱり、女性だった。
しかも、佐隈りん子だ。
佐隈はすやすやと気持ちよさそうに眠っている。
その顔が間近にある。
「っ！！」
ベルゼブブは弾かれたように、勢いよく身体を起こし、さらにベッドから離れた。
そのせいで、ベルゼブブと佐隈の身体の上にあった上掛けが飛んでいった。
そして、見た。
佐隈が素っ裸であるのを、見てしまった。
それだけではない。
ベルゼブブも裸だった。それも、ペンギンのような姿ではなく、魔界にいるときと同じの本来の姿だ。今の自分は人間の成人男性に似た姿で床に立っている。
「！！！？？？」
これは一体どういうことなのか……！？
なんなのだ、この状況は！？
ベルゼブブは混乱し、慌てふためく。
心臓がドキドキと激しく強く早く動いていて、胸が苦しいぐらいだ。
わあああああ、と頭をかかえて叫びたくなる。
一方、佐隈も眼をさました。
「ベルゼブブさん……？」
まだ半分眠っているような眼がベルゼブブに向けられた。
しかし。
次の瞬間。
「ベベベベベベルゼブブさん……っ」
自分もベルゼブブも全裸であることを認識したらしい佐隈は、すっかり動揺した様子で身体を起こした。できるだけベルゼブブから離れたところに行こうとする。