Surprise!
「どっどどどどうして、な、なんでなんですか、なんで私たち、こんなことにっ!?」
佐隈は顔を真っ赤に染め、ベッドの端にある上掛けを自分のほうに引き寄せて、身体を隠そうとする。
だが、今さらである。
今さら隠したところで、ベルゼブブの頭には佐隈の裸体が焼きついてしまっている。
女性らしい丸みを帯びた身体。
服を着ていても豊かであるのがわかる胸、それを、なににも隠されていない状態で、見てしまった。
今は思い出してはいけないと思うのに、眼の上のあたりに浮かんできて、消えない。
「どうしてかなんて、私も知りませんよ! こっちが聞きたいぐらいですッ!」
言い返しながら、暑さを感じる。
身体が熱い。
きっと自分の顔も佐隈と同じように赤くなっているだろう。
頭が、くらくらする。
けれども、そんな頭で、一生懸命、今の状況について考える。
なぜ自分たちは全裸なのか。
そして、なぜ、ふたりで一緒に寝ていたのか。
まず、ここはどこか。
佐隈の部屋である。
昨夜、この部屋に召喚されたのだ。
その時点で、佐隈はすでに酔っていた。
酔って、気分が良くなって、仕事でもないのにベルゼブブを召喚したらしかった。
召喚されたベルゼブブはイケニエのカレーを食べたあと、佐隈の酒につき合わされた。
佐隈は酒癖がたいへん悪い。
いつもはおとなしいほうなのに、酒が入るとやけに強気になる。
飲め飲めと、ベルゼブブに飲酒をすすめてきた。
イケニエを受け取った以上、ベルゼブブは仕事をしなければならない。
これは仕事だと思って、すすめられるままに酒を飲んだ。
そのうち、すっかり酔っぱらった佐隈がグリモアを片手になにか呪文をとなえた。
すると、ベルゼブブにかけられていた結界の力が解けて、本来の姿にもどった。
だが、その時点でベルゼブブもかなり酔っていたので、姿が変わっても、佐隈と飲み続けた。
ふたりとも、完全な酔っぱらいだった。
陽気に話をしたり、相手に触れたりしていた。
いつもよりも距離が縮まっていた。
酔った佐隈が何気なく身を寄せてきて、酔ったベルゼブブはその佐隈の温もりが心地良くて自分からも身を寄せた。
今、思い出してみると……。
なんだか。
やたらとベタベタしていたような気が……。
そして。
恐ろしい事に。
それ以降の記憶がないのだ……!