【空折←砂】オペラ座の怪人パロ 1
こんなこと、エドワードが事件を起こすまで有り得なかったのに。そう思って、イワンはまた表情を曇らせる。
しかし、エドワードにされるがままベッドに体を横たえると、疲れていたせいかイワンの体はゆっくりと力が抜け始め、うとうとと意識がまどろんでいく。
エドワードはその様子を愛おし気に見つめると、自らの指でそっとイワンの瞼を下ろした。
それから、エドワードは力の抜けきったイワンの手をそっと自らの口元へ近付け、ちゅっと甲にキスを一つ落とす。
「…おやすみ、俺の可愛いイワン。」
エドワードがそう呟いたその瞬間、それまで優しく微笑んでいた彼の表情は一瞬にして失われる。
そうして、その声は両親が幼い我が子に向けるそれのようであり、また、男が愛しい恋人へ向けるそれのような熱を孕んでいた。
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作品名:【空折←砂】オペラ座の怪人パロ 1 作家名:まつり