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【空折←砂】オペラ座の怪人パロ 2

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自分は犯罪を犯している。その上、今は脱獄し逃亡している状態だ。堂々と彼の傍にいることは出来ない。


「…イワン、」
「あ、エドワード…僕、もう行かないと…。」


もごもごと言い辛そうに口籠もるイワンを、エドワードはじっと見つめている。
それは、置いて行かれることに怯える子供が、行かないでほしいと縋り付くような眼差しだった。
イワンは後ろ髪を引かれるような気分で、エドワードに何かを告げようとして、ためらいがちに息を吐く。
そうしてイワンが言葉を発しようとすると、それを制するようにエドワードがイワンに駆け寄り、彼の両手をぎゅうと握った。
イワンが不思議そうにそれを見つめていると、エドワードはぽつりと一言、指輪…と告げる。


「指輪?」
「俺が昔イワンに渡した、二人のお揃いの指輪…。」
「ああ、これのこと?」


それは、アカデミー時代によく他の生徒から苛められていたイワンを心配し、エドワードがプレゼントしたものだった。
自分がイワンの傍にいられない時は、この指輪が代わりにイワンの傍にいるから、と。
そしてエドワードはその指輪を手渡した時、イワンに常にそれを身に着けておくことを約束させていた。
その約束通り、今もイワンは金色に輝くシンプルなその指輪を、きちんとその指に光らせている。
エドワードはイワンの指に在る指輪をじっと見つめたまま、動かない。その間もイワンのPDAは鳴り響いていた。


「これからもずっと、その指輪は外すなよ…イワン、」
「…うん、大丈夫。二人の約束、だもんね。」
「……ああ、約束、だからな。」


弱々しく縋るようなエドワードの言葉に、イワンはゆっくりと頷いた。
けれど、その表情はどこか浮かない様子で曇っている。イワンの思考の片隅には、キースの存在が浮かんでいた。
そうして、先程の豹変したエドワードの様子を思い出し、ぞくりとする。
イワンはそれを振り払うようにぶんぶんと顔を横に振ると、今度こそ現場に向かわなくては、とすぐ傍を散歩していた猫に触れ、擬態する。
タッタッ、と後ろを振り返ることもなく、イワンはその場を立ち去っていく。
エドワードはその様子をひたすらじっと見送っていた。そうして一言、消え入るような声で呟く。


「また、迎えに行くから…イワン、」






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