Shadow of HERO 3
「護衛…ですか。」
「最近、犯罪者が次々と殺されるって事件が続いてるんだけどね、その犯人と思われるNEXTに遭って生き延びた女性がいるんだよ。」
「その人を護衛しろ、と。」
その女性は犯罪者でも何でもないのに狙われ、かつ自分のことを『ルナティック』と名乗ってきたらしい。彼女を意識しているのは明白で、だから護衛が付くとこになったそうだ。バーナビーが選ばれたのは彼女もここの社員だから。
内心面倒だと思った。
バーナビーは今、この間のヒーロースーツを着た人物について調べている。斉藤にははぐらかされっ放しなので。自力でどうにかしなければならないというのに。
(両親の仇に近付けるかもしれなのに…!」
バーナビーが4才の時、両親がクリスマスイブの夜に殺された。相手について覚えているのは右手の甲に独特の刺青があったこと。それは後に「ウロボロス」という名だと分かったのだが―――もう1つ、事件について覚えていることがある。犯人が自分に気付いて近付こうとした時、誰かが己を庇うように立ちはだかったのだ。瞬間的にヒーローだと思ったのだが、後で調べても記憶を燻ぶるヒーローはいなかった。バーナビーはそれが、この間遭遇した人物と同一ではと思っている。ウロボロス以上に手掛かりが見つからなくてこの方面から付きとめるのは諦めていたが、一気に可能性が出てきた。見失う前に掴み取りたいが、一社員として仕事は断れない。
「……分かりました。出動時はどうすれば?」
「その時は代わりを付けるから大丈夫だよ。」
代わりがいるなら、その人に全てやらせればいいのに。口には出さずに胸の内で愚痴る。しばらくは骨が折れることになりそうだ。
話がまとまった時、扉をノックする音が聞こえた。
「来たみたいだね。入りなさい。」
ガチャリと扉が開かれる。
「ロイズさん、俺に話しって何す、か…」
入って来た人物がこちらを見て、正確には己を見て目を見開く。それはこっちも同じだった。
「……バニーちゃん?」
「オバサン?」
「彼女が君の護衛対象だよ。」
勘弁してくれと、今からでも断りたい気持ちになった。
作品名:Shadow of HERO 3 作家名:クラウン