新 三匹の子豚Ⅲ
トラの姿が視界から消えると、みんなが一斉に大きな溜息をつきました。本当はみんな怖くて内心びくびくしてたんです。ウーだって一緒です。
「さあ、帰ろうよ!」
また誰かが言いました。
「そうだ、帰ろう。帰ろう」
そう言いながら、みんなで村へ向かって歩き出しました。また ぞろぞろと行列です。
ウーとウルフルは並んで歩いていました。
まもなくウルフルの家が見えてくる頃に、トンタが二人のそばに寄ってきました。
「えっとー、ウルフルくん」
トンタが声を掛けます。
「うん?」
「あのう……疑って本当に悪かったよ。ごめん!」
トンタが頭を下げました。
ウーが思わずウルフルの目を見ると、ウルフルが優しさを湛えた瞳で頷きました。
「トンタさん、もういいですよ。俺じゃないってことが分かってもらえれば……。俺の過去はどうしようもないし、疑われるのは仕方のないことだもの」
「いやあ、ウルフルくん。本当に悪いことをしたと思ってるよ。だから、こう言っちゃなんだけど、これからはおらとも友達になってくれないだろうか?」
「ええっ?……本当ですか?」
「ああ、是非! こんなおらで良かったら……」
「ああ、なんて嬉しいんだろう。こんな嬉しい申し出を断ったりなんかするもんですか!」
「良かったね。ウルフルくん!」
ウーはそう言うと、二人の右手を取って、それぞれの手を重ねました。
トンタとウルフルは堅く握った互いの手を、力を込めて上下に振りました。
そう、この日ウルフルは、本当の意味で村の仲間になったのでした。
−おしまい−