BOKORI TITLE 10
07:殴られた
生涯、一度きりだろう。
雲雀恭弥は殴られれば、いや殴られる前に、いや気が向けば渾身のちからを込められて相手を殴る。9割トンファーで残りは素手で骨を砕く、血管を裂く、肉をえぐる。
だというのにその日。沢田綱吉の前に現れた雲雀恭弥はぷっくり頬を腫らして、殴らせた、とのたまった。近来まれに見る上機嫌に沢田は背筋の温度を下げ、なぜか頬を赤らめてしまった。
「殴らせたって誰に…」
「君の父親」
「は?」
「伝統なんでしょう?」
作品名:BOKORI TITLE 10 作家名:夕凪