STKはストーカー
※注意※
キャラ崩壊パネェ
ちょww臨也wwおまwww…みたいな話
臨也さんが好きな方は
振り返らずにダッシュでお逃げくださいwww
「………臨也さん」
「ん?なぁに、帝人くん」
「……いや、何?じゃなくて」
「あ、帝人くん。こっち来て座りなよ。お茶持ってきてあげようか?」
「……あの」
「ん?」
「何でいるんですか?」
ニコニコ笑う臨也を冷めた目で見つめ、帝人は溜息をついた。
学校が終わって二人と別れた後に少し買い物をし、そのまま帰宅。
…ここまではいつも通りだった。
ただ一つおかしいのは、誰もいないはずの自分の部屋に何故か臨也が居座っていたことだ。鍵が開いてると分かった時点で、入るのを止めておけばよかったと後悔する。
「やだなぁ…恋人が部屋にいるのに理由なんか必要かい?」
「必要でしょう。…てか、記憶の捏造は止めて下さい。僕らは付き合ってなんかないですよね」
「ははは。またまた…帝人くんは照れ屋だね。そういうところが可愛いんだけど」
「気持ちが悪いです」
「酷っ」
臨也はあからさまに傷ついた顔をする。わざとらしい…と、帝人は吐き捨てるように言った。
「あのですね、臨也さん」
「ん?」
「あなたはどうか知りませんが、僕はノーマルなんです」
「大丈夫だよ。俺は気にしないから」
「してください」
「むしろ、俺の手で君の性癖が変わるなんて最高の事じゃないか」
笑顔でなんて事を言うんだ。この変態は。
「あれ?帝人くん。今、失礼なこと考えたでしょ」
「黙って下さい…これだからSTKは…」
「STK?S(す)T(て)K(き)?帝人くん…俺のことをそんな風に…」
「どんだけプラス思考なんですか!!?」
帝人は臨也を蹴飛ばす。…とは言っても、力が全くないので臨也にとっては痛くも痒くもない。
「早く出ていって下さい!」
「嫌だよ」
「…っ、静雄さんを呼びますよ」
「それは困るなぁ」
「だったら…」
「でも、どうやって呼ぶの?」
「は?」
そりゃ、携帯で…。帝人は鞄を探る…が、その動きはすぐに止まった。恐る恐る臨也を見る。臨也は得意げに、手に持った携帯のストラップの部分を掴んでクルクル回した。自分のではなく、帝人の携帯だ。取り返そうと伸ばしてきた帝人の手を逆に掴んで、引っ張る。帝人は臨也に抱き込まれるような形になった。
「…で?どうやって呼ぶの?」
「っ、返して下さい!」
顔を上げ、臨也に向かって抗議する。思ったよりも顔が近くて、息を飲んだ。
「帝人くん?」
いきなり固まった帝人に、臨也はきょとんとする。
「…あの、放して下さい」
心臓の鼓動が速いのが臨也に気づかれないように願いながら、小さい声で呟いて俯く。同性である自分が思うほどに、黙っていれば美形の顔なんだ。こんなに至近距離だと、無意識に顔が赤くなる。あああ…このままじゃ、確実に変なムードになってしまうはずだ。それだけはなんとしてでも避けたい。
「帝人くん…」
帝人の心境を知ってか知らずか、臨也の掠れた声が近づいてくるのがわかる。ほら、やっぱり変なスイッチ入った。いつもとは違う感じの声は凄く色っぽくて、自分が女の子なら、このムードに流されてしまっただろう。だが、残念ながら帝人は男の子だ。健全な、好きな女の子もいる、ちょっと奥手な日本男児だ。隙を付いて、急所を踏み潰してしまおうとそっと顔を上げれば、臨也の顔がすぐ近くにあった。その瞳に自分が映っているのを見て、動けなくなってしまう。
「臨…ん、んぅ…」
唇に暖かい感触。思わず思考が停止する。これは、巷で噂のキスではないのか?kiss?接吻?ちゅー…?
「ん、は…ぁ…い、ざ…んんっ」
やっと離れたと思ったら、再び唇を吸われる。女の子ともしたことないのに!初めてが男…しかも臨也さんみたいな変態なんて!!目の前が真っ暗になるような感覚に襲われる。一番ショックだったのは、こんなことをされても気持ちが悪いと思わなかったことだった。
「帝人、くん」
臨也は微笑みながら、帝人の頬に手を触れる。
「い、ざやさ…」
あああああ…ヤバい、ヤバいって…。流されるな僕!気をしっかり持て!!童貞を失う前に、処女を失っちゃう!!目の前の相手を見ろ!臨也さんだぞ!?変態だぞ!?勝手に合鍵作ってるし、ケータイのフォルダとか隠し撮りの写真でいっぱいだったし、僕の部屋から私物を持っていったかと思えば、自分のものをわざとらしく置いて行っているし!前だって押入れを開けたら僕のパンツの匂い嗅ぎながら、「帝人くん帝人くんハァハァ…hshs!」とか言って、鼻血を出していたじゃないか!!…何か思い出してきたら腹が立ってきたなぁ…。これって訴えたりなんかしたら、慰謝料とか請求できたりするのかな…。
「?」
さっきまで、甘いムードのはずだったのに、部屋の温度が一気に下がったような気がして、臨也は首を傾げた。心無しか、帝人の目が凄く冷たいような気がする。いや、確実に冷たい。明らかに冷気を帯び、臨也のことを「この変態ノミ蟲」って思っている。
「み、帝人くーん?怒っちゃったの?」
「放して下さい。変態ストーカーゴミ蟲野郎」
もっと辛辣なことを思っていた。こんな可愛い顔から、しかも最愛の相手からそんな単語を言われてしまうと……。臨也はゴクリと息を飲んだ。俺の中で何かが目覚めそうになってるよ。興奮してきたじゃないか!!!
「変態の上にMまで付いたら取り返しつきませんよ」
「大丈夫だよ!!帝人くん限定だから!!」
「いや…そんな良い顔で言われても…」
帝人は引きつった笑みを浮かべ、臨也の胸をポンポン叩く。早く手を放して欲しいという意味だろう。逆らって帝人に嫌われるのは嫌だから、今度は素直に従った。今日は思いがけずキスまでできたんだ。時間はたっぷりある。それに…
「帝人くん」
「はい」
臨也は自分のコートを枕にして寝転びながら、お茶でも飲もうと冷蔵庫を開けた帝人に声をかけた。お茶を飲む彼の喉が上下に動くのを見て、思わずかぶりつきたくなった衝動を抑え、笑みを浮かべる。
「なんですか、臨也さん。あ、臨也さんもお茶飲…」
「帝人くんってさ、俺のこと嫌いじゃないでしょ」
「………………は?」
しばらく間を置いて、帝人は声を出した。コイツはまた意味のわからないことを…
「嫌がらなかったじゃん。キスの時」
『キス』と聞いて、帝人の顔が赤くなる。
「俺のこと、好きだよね?」
「だ、だだ…誰がっ」
自分でも不思議に思ったんだからそんな事聞いてこないで欲しい。ていうか、この人…アレだけの事をしておいて、まだ帝人が自分を好いていると思っているのだろうか。何という思考回路。自分を中心に世界が回っていると思っているんじゃないだろうか。…思っているんだろうなぁ、この人なら。帝人はニヤニヤ笑っている臨也の顔を見て溜息を付いた。
「あ、また失礼なこと考えているでしょ」
「…あなたが考えさせるようなことをするからです」
「それって、ある意味爆弾発言だよねぇ。ま、どんなことにせよ…帝人くんが俺のことを思っていてくれるならそれ良いんだけど」
だから…どうやったらそんな恥ずかしいセリフを言えるんだ。
「俺は待つよ。君が俺を好きになるまで」