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きょうも、あしたも、そのさきも、きみと

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昨日の宴と変わらないほど大騒ぎをした今日の宴もおわり、すっかり静かになって皆が寝静まったころ、サンジはまだ屋敷内の片づけに追われていた。調理道具や食器、食卓の後片づけまで愛情をもってしっかりするのがコックの仕事。量が多くても、サンジは黙々と自分の仕事をこなしていた。きれいに平らげられた皿を洗うのは別になんの苦でもない。むしろこの片づけの時間もサンジは好きだった。
被害者の会の面々は、体に日の出の朝日を浴びたいらしく、まだ自分が寝ていたとしても太陽の光をたっぷり浴びられるように揃って外で寝ているようだった。一味は思い思いに、外で寝たり、船に戻ったり、屋敷で寝たりしているようだ。

片づけの最中、サンジの目は常にゾロに向いていた。
船長を、仲間を、そして身代わりに出た自分を、ひとり体を張って守ってくれたゾロ。
本人は、そんな風に押し付けがましく思ったりしないだろうが、結果として、自分たちはゾロに守られた。自分が気を失ったその先のことを知ったサンジは、人一倍ゾロのことを気にかけていた。ゾロは今日になってもほとんど目をあけていない。

(クソ………)

早く目ェ覚ませ、とサンジはそればかりを無意識に心の中で唱えていた。
サンジには人一倍ゾロのことを気にかける理由が、実は他にもあった。

ゾロの事が好きなのだ。単純に仲間としてではなく、もっと特別な存在として。

その想いは本人には告げず、ずっと、隠している。ばれないように、怪しまれないように、自分なりにここまでうまくやってきたつもりだ。サンジは、別に想いを告げるのが怖いわけではなかった。自分たちは同性同士、もとより成就する可能性の方が低いからだ。
ただ、自分の勝手な行いで、ここまで一緒にやってきた船員の雰囲気を壊すような結果を招いたり、ルフィが海賊王になるための道を阻むような結果を招いたり、何よりも、ゾロの野望の邪魔になるような結果を招くことが、サンジには一番怖かった。
だから、想いは伝えない。恋心が苦しくても、絶対に。もし、想いを伝える時が来るとするならば、ゾロが大剣豪になったその時だと、そう思っていた。

だが、今回のようなことがあって、サンジの想いは揺らいでいる。もしかしたら、大切な人を失っていたかもしれないという恐怖が、固い決意を揺らしていた。考えたくもないが、もし、何も伝えられないまま永遠に別れるようなことになるのならば、それは、あまりにも辛いことだと思った。サンジの心では、伝えたい気持ちとこのまま隠していたい気持ちが熾烈にせめぎ合っていた。今夜も眠れそうにないな、と、サンジは小さく息を吐いた。

いつの間にか止まっていた手を再び動かし始めたその時、ガタンという小さな物音が聞こえて、サンジは慌ててゾロに視線を向けた。ゾロが動いたという確信もないのにまっさきにゾロに目をやった自分の行動に羞恥を感じながらも、じっと目を凝らす。はっきりと確認できたわけではなかったが、ゾロが一瞬身動ぎしたように見えて、サンジは食器を洗う手を止め、様子を見にゾロの寝ている場所へと駆け寄った。

「ゾロ………」

ゾロは苦しそうに荒い呼吸を繰り返していた。高い熱がでているのだろう。サンジが思わず名前を呼ぶと、固く閉じられていたゾロの目がうっすらと開いて、サンジは慌ててゾロの枕元に膝をついて顔を覗き込んだ。

「ゾロ、おい、俺だ、わかるか?大丈夫かよお前…!」

サンジが声をかけると、ゾロはぼんやりと開いた目で、サンジの顔を見た。それから周りの状況を確認するように、小さくゆっくりと左右に首を振る。

「こ、こは………」

掠れた小さな声だったが、久しぶりに聞いたゾロの声に、サンジは目頭が熱くなるのを感じた。それをぐっと堪えて、簡単に今の状況を説明してやる。ここはまだスリラーバークで、とりあえず、危機は去ったと。それを聞いてゾロは少し安心したように、そうか、と小さく呟いた。

「それよりお前大丈夫なのかよ、だいぶ熱が高ェようだが…待ってろ、今チョッパーを…」

サンジはゾロの苦しそうな様子を見かねて、少し離れた所で寝息をたてているチョッパーを起こしにいこうと立ち上がる。するとゾロはサンジの服の裾を掴んでそれを止めた。

「いい…よせ…アイツ昨日一晩中俺についてたんだ…寝かしといてやれ」
「ハア!?お前人の心配してる場合じゃねェだろ、自分が死にかけてるってのに…!」
「…いいって言ってんだろ、何度も言わすな」
「てめェ………!」

ゾロに無駄な体力を使わせるわけにもいかず、サンジは大人しくゾロの言うことを聞いた。その代わりに、自分がついていることにした。ゾロは同じようにいい、と言ったが、食器の片付けのついでだと、サンジが大袈裟に、洗いあがった食器を大量に持ってきてそばで拭き始めると、観念したように、勝手にしろ、と呟いた。
氷水をいれた桶に布を浸して、それを絞って額にのせてやり、たまに水を飲ます。それくらいしかできないのがサンジには心苦しかったが、やらないよりはマシだろうと自分に言い聞かせる。心ではいろいろな感情が渦巻いて落ち着かなかったが、サンジは普段通りを意識して、自分の作業に集中するように努めた。