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龍と鬼と邪と祭り

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どんどんぴーひゃら。
 祭りの太鼓、祭りの音楽、祭りの熱気、祭りの匂い。
 祭りの全てが在るその場所で。
「……どーしてこんな時に皆いねーかなー」
 不満そうに愚痴を零すのは、横島忠夫。
 美神除霊事務所の他の面々は、それぞれの用事でこの場には来ていない。
 夏は、霊が活発になる時期である。
 その為、美神は稼ぎ時だと張り切って立て続けに仕事を入れ、昼夜問わず除霊しまくった。そして当然疲弊し、流石に休まなければもたないと判断した為、長期の休みに入ったのだ。
 勿論従業員にも休みが与えられ、本人は美智恵に家族孝行しなさいとか言われつつ引っ張っていかれた。解放されるのは当分先だろう。
 おキヌはやっとの休みという事で、氷室家の面々に強く望まれ帰省中。
 シロも人狼の里へ里帰り中。タマモもそれに乗ったらしく、今頃は人狼の里で賑やかにやっているだろう。
 まぁ、それらがこちらの祭りと被ってしまったのは、他の全員にとっても痛恨のミスだったろうが。
 そして、そんな横島の愚痴を隣で聞くのは鬼道政樹。
「んー、まぁ、そういう事もあるやろ」
 そう困った様に苦笑する鬼道は浴衣に身を包んでいる。
 着物が主体である普段とあまり変わらないものの、落ち着いた色合いの浴衣と相俟った穏やかな雰囲気が、大人そのものだ。
 横島も折角だからと、母親からの現物支給付きでの仕送りの際に同梱していた浴衣を着用しているが、こちらは鬼道と比べてしまえば遊び盛りの子供といった所。
 それでも、はっきりした色彩の青い浴衣は彼に似合っていたし、実際高校生である。
 年相応と言う所だろう。
「帰って来たらいつでも遊べるんやから、な?」
「……いや、頭撫でなくていーから……」
 鬼道とじゃれあう様にも見えるその姿は、兄弟の様にも見えていっそ微笑ましい。
 そして、そのまた下の、弟の様な子供も傍らに。
 ……"出現"した。
「おぉ!!久し振りじゃのう、横島!!」
 竜神族の証であるツノ。風変わりな着物。偉そうな物言いの少年だ。
「……おー、久し振りだな、天龍」
 その突然の出現に驚く事も無く、横島が軽く返す。元気一杯の相手に対して、随分とやる気なさげ。
 彼の名は天龍童子。次期竜神王である。
「で、それはいいんだが……何でお前一人で遊びに来てんだよ!!せめて小竜姫様と来いよなー」
「仕方無かろう!!小竜姫はパピリオと天界の方に行っておるのだ!!」
 まぁ、何をしに天界に行っているのかは知らないが、そういう事だ。
 昨日連絡を受け、速攻で承諾したのが運のツキ。後から天龍童子一人だと聞いて石になったのは横島にしてみれば当然の事であり。
 とにもかくにも引き受けはしたので面倒は見てやるつもりだが、それでもやっぱりテンションは下がる。
「……小鳩ちゃん一家は福引に当たって海外だし、愛子でも誘ってみるかと思えばクラスメートの女共と旅行だとかで浮かれてやがるし、女っ気ねぇにも程があんだろっ!!」
 勿論喜ぶ彼女達に何も言える筈も無かったが。
 何せ貧乏神に憑かれていた所為で人並みの贅沢も出来なかった小鳩と、妖怪であり、机を本体とする九十九神。人間の友達と普通に旅行、なんて夢のまた夢だった愛子に訪れた幸運だ。
 特に愛子なんて霊的存在の過多で霊力上がって机を小さく出来る様になったので、何処へでも行ける!!と空をも飛びそうな浮かれっぷりだった。
 ……本当に何も言えん。
 しかしこんな所でいつまでも血涙流して嘆いていても仕方無いので、はぁぁ~っと深い溜息吐いて話を変える。
「……悪ぃな、鬼道。こんなコブ付きで」
「コラ横島!!コブとは何じゃ、コブとは!!」
「それはええけど……。そんなお人が地上に来たりなんかして、平気なんか?」
「んー、問題ねーだろ。神魔共々、自由に動ける時期でもねーしな。ま、ハメ外したりしなけりゃ大丈夫だって。今いきなり出てきたのも他に悟られない為の、何かの術らしいし」
「余を無視するなー!!」
 ところで。
 天龍童子はともかく、何故鬼道がいるのかというと。
「まぁ、こういうイベント事は子供メインやからなー。……ボクは初めてやけどな……ふふふ……」
「き、鬼道……」
「な、何故こやつはいきなり暗くなっておるのじゃ!?」
 祭りなんて行った事が無いなんて世知辛いとゆーか、幸薄い事をさらりと言うので、横島から誘ったのである。



「しかし、凄い人やねぇ。はぐれんようにせんとな」
「そだなー。天龍、気ィつけろよ?」
「何故余に言うか!!横島の方が心配じゃろーが!」
「何ぃ!?」
「はは、確かになー」
「鬼道までっ!?」
「ほな、手でも繋ぐか?」
「余は肩車がいい!!横島!!しゃがむのじゃ!!」
「へいへい」
「仲ええなー」
 溜息を吐きながらも言う通りにしてやる横島と、はしゃぐ天龍の姿に、鬼道は朗らかに笑いながらそう言って。
「ほな、行こか」
 横島の手を取った。
「……何しとる、鬼道」
 横島が繋がれた手を凝視しながら問えば、
「ん?いや、はぐれんよーにと」
 のほほんと返されて。
「……いや、肩車してて手が使えないのは危ねーから」
「あぁ、そーやなー。すまんすまん」
 何か色々言いたい事はあったのだが、意味が無いと判断して事実のみを述べた横島に、鬼道が苦笑して手を離す。
「……別にいーけどよー」
 子供扱いと天然は相変わらずだなぁ、などと思いながら、溜息一つ。
 天龍はその一連の様子を、眉根を寄せつつも黙って横島の頭の上から眺めていたが、
「……お主、余の横島とどのような関係なのじゃ?」
「ハァ!?」
「へ?」
 そんな問いを放たれ、声を上げる横島と目を瞬かせる鬼道。
「お前は何言ってんだよ……。確かに俺はお前の家来って事にはなってるけどよー。つーか鬼道の事は説明したろ?六道の霊能科で教諭やってて、おキヌちゃんの先生で……」
「そんな個人情報はいらん!!余が知りたいのは、この男とお前の関係じゃ!!」
「……いや、関係っつっても……」
 困惑。
 何言い出すんだこいつは……とか思いつつ、助けを求める様に鬼道へと視線を向ける。
 その視線を受け、暫し黙考。
 何やら思い付いたのか、ぽん、と手を打ち、
「保護者と被保護者やろか?」
「お前もどこまで人の事子供扱いしたら気が済むんじゃあっ!!」
 (……取り敢えず、手出しはされとらん様じゃのう……)
 ぎゃんぎゃん吠える横島と笑ってかわす鬼道の様子に、何だか黒の入り混じった子供らしくない思考をする天龍童子。
「……まぁ、よかろう。では行くぞ、横島!!いつまで吠えておる!!」
「てめー、誰の所為だと……」
「まーまー。ほな、取り敢えずそこら見て回ろか」
 ほわ、と笑って言う鬼道に、溜息を吐きつつも、まぁいいか、とあっさり切り替え。
「取り敢えず鬼道のオゴリは確定な!!頼むぜせんせー!!」
「はは、解った解った」
「……む。卑しい奴め。主人の余がおごるのが道理であろう。みすみすその男に餌付けされるつもりか!?」
「……お前、何かさっきから言動がおかしいぞ……?」
「取られたと思っとるんやないのか?好かれとるなぁ」
「……横島はやらんぞ、下郎」
作品名:龍と鬼と邪と祭り 作家名:柳野 雫