学園戦争サンドイッチ2
静雄からの突然の告白。怒鳴るように告げられて、噛み付くようなキスをされた。
「・・・ぇえええっ!! 嘘っ」
「嘘じゃねぇ、ホンキだ」
帝人は真っ赤になってキスされてしまった唇を押さえた。
何それ。静雄が僕のことが好き? でも、だからって。
「だからって、なんでキス・・・」
「ワリイ。至近距離にお前の顔があるからつい・・・」
情けなくて、涙が出そうなる。僕はまたしても男にキスを奪われたんだ。そりゃね、静雄のことは嫌いじゃないけど、そういう問題じゃないよね。そんな勝手な!
「ついって、ひどい。…なんで、セカンドキスまで男にされなきゃ・・・泣きたい」
悔しくて、ついついいらぬことまでぼやいてしまった言葉に、静雄がくらいついてきた。
「ワリイ。・・・って、なんだって!? おまえのファーストキスの相手、男なのか?」
「あっ、そ、それは」
「誰に、されたんだ! 言え!」
静雄のごまかしを許さぬ強い瞳と言葉に、うっかり帝人は言ってしまったのだ。
「それは、い、臨也に冗談半分で持ってかれて・・・」
しまったと思った。ただでさえ、普通の話題で名前を出すだけでも怒り狂う静雄に、正直に話してしまうなんて。
「臨也の野郎だぁあああああああああっ!? あの野郎、許さん!!」
案の定、静雄の膨れ上がる殺気に怒りの形相に、帝人は真っ青になる。
「え、あ、今のはっ・・・」
「よし!! わかった。殺す。臨也のやつはこれから、俺が抹殺してきてやるから、忘れちまえ。お前のファーストキスの相手は俺だ。勿論、俺のファーストキスだってお前だ」
そう言って、嵐のように保健室を飛び出していった静雄に、帝人は頭を抱える。
「あー、あー、あー! せっかく今さっき喧嘩止めたばっかりなのに! ってそうじゃなくて、静雄からの告白!? どうすんだよ、僕。どうればいいんだよ、静雄の馬鹿! なに、これって返事しなくちゃいけないの? もー、僕、知らない、知らないからー」
パニックを起こして現実逃避を図った帝人は、午後、どんな破壊音が聞こえてきても、先生から頼み込まれても、喧嘩の仲裁に行かなかったので知ることはなかったのだ。
静雄が臨也に向って、「お前に帝人は渡さない!」と戦線布告をしてしまったことに。
そして、静雄にキスされてしまったことが、臨也にばれてしまったことも。
そうして、帝人の知らないうちに嵐の幕があがったのであった。
作品名:学園戦争サンドイッチ2 作家名:織 夢月