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ある夏の日の情景

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 後日。
「………結局こりゃデートなのか?」
「………違うんじゃない?クラスの皆で遊びに来てるんだから、数の内に入んないわよ」
「だよなぁ………。しっかし、横島発案だろ?どーしたんだアイツ?」
「二人っきりが恥ずかしかったんじゃない?」
 メガネ君とポニテ少女が会話する。
 夏休みも終わりに近付いたある日、横島からきた連絡網。
 バイトで結構な臨時収入が入ったんで、皆で遊びに行かないか、というもの。
 ピートも来るのか、と聞いた所、知らん、等と返されて。愛子も来るぞー、との言葉に、疑問符と共に色々思う所はありつつも、結局来る事にした十数名。
 なかなかの大所帯で、遊園地へと繰り出した今現在。
 因みにタイガーは魔理とデートらしい。ちょこざいだ。

 (………まぁ、祭りの時期は外しちまったけど………)
 これはこれで、いいだろうと。
 二人っきりじゃないってのは、何と言うか、自分も実は残念な気がしていて。
 ………それでも、まぁ。
 ピートが、愛子の事を大事な仲間だと思っている事なんざ、解ってて。
 皆と遊ぶ事が嬉しいってのも、知っていて。
 だから、そういうお前は。
「………嫌いじゃないんだよなぁ………」
「ん?何か言ったか?横島」
「いや、何でもねーよ」
 目の先。
 皆と楽しそうに笑う愛子と、ピートがいて。
 こちらに声を掛け、呼ぶ二人を見ながら。
 (これも青春ってやつかね………)
 横島も、楽しそうに笑っていた。



 その後。
「次は二人っきりで来ましょーねっ!!」
「やだよ。男二人で遊園地なんて寒いにも程があんだろ」
「えー」
「…せめて、デート代オゴレるよーになってからにしろよな」
「うぐぅっ!?」
 痛い所を突かれて固まるピートに笑って、ひょい、と身体を前に。
 ちゅ、と軽い音をさせて、すぐに離れる。
 別の意味で固まったピートにまた笑って、横島は皆の所へと戻っていく。
「………がっ、頑張りますっ!!待ってて下さい、横島さんっ!!」
 そう叫ぶピートの声が聞こえたのか、
「………あほ」
 皆の所に戻る途中、顔を赤くした横島がそう呟いた事を知るのは。



「………青春だわっ!!」
「愛子ちゃん、もっと小声小声!!………にしても横島君の方が積極的なのねぇ」
「くっそー、キスするか否か、にすりゃ良かったなー、今回の賭け!!………あ、やべー横島来る!!あんがとな、鈴女ちゃん!!」
「………盗撮カメラに意思持たせて撮る………。最初からこうしてればあんな砂吐くよーなトコ見なくてすんだのに~」
「まーまー」
「また頼むねー」
「写真集二冊だからねー!!」



 ………結構、いたりする。


作品名:ある夏の日の情景 作家名:柳野 雫