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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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神々と悪魔の宴 ③<望みを言え!>

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神々と悪魔の宴 ③

<望みを言え!>

 その聖職者が旅に出てから三十年の月日が過ぎた。

 真っ白な髪や髭は伸び放題でその奥の眼光だけが徒ならぬ雰囲気を醸している。
 着ている衣はボロボロになり、その色も染めたものなのか汚れなのかも判らなかった。

 旅立った時には既に四十才を過ぎていたので、今は齢七十を超えている事になる。

 だが、崇高な目的と強い信念をもった聖職者には、過酷な道程も神に与えられた試練と受け止め、過ぎてしまった今では美しい想い出となって回想されるだけなのだった。

 神の創り給うた七つの水晶球。

 ソレを集めた者には天空より「神龍」が舞い降り、たった一つだけ、どんな希望も叶えてくれると云う――。

 始めは全く信用していなかった聖職者も、その奇跡によって成功を得た歴史上の大人物の物語を聞き、そして調べるうちに、ソレがデマで無い事が、いや紛れも無い真実である事を確信し旅に出たのだった。

 そして今、七つ目の水晶球がアジアの秘境の地で、崩れかけた仏像の片目として目の前で輝いているのだ。

 物乞いもした。金鉱を掘る人夫となった事もある。
 ある時は止むに止まれず人様の畑から一日の命を引き延ばすだけの盗みを働いた事も有った。