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記憶

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(向)「医者に言われたら仕方ねぇだろ!」
向日は、にっこりした顔で日吉と鳳に告げた。
(向)「最初に何処行こうか?」
この家は、跡部の別荘の一つだから、とても、広いのだ。
(鳳)「やっぱり最初は、日吉の部屋じゃないですか?」
(向)「よし!」
(日)「俺に・・・部屋が・・・」
(鳳)「うん、日吉には、別の意味で二つあるんだよ」
(日)「二つも・・・!」
(鳳)「うん、普通の部屋と、道場が・・・」
(日)「道場・・・?」
日吉は、自分が古武術を、していることも忘れていたらしい。鳳達はそんなことも何も思わずに。
(向)「お前は古武術もやっていたんだぜ!車イスがとれたら、やってみればいいよ!体は、慣れていると思うぜぇ!」
(日)「はい!」
日吉はにっこり笑顔で返事をした。
そして、階段を何段か上って、長い道を歩いて、日吉の部屋にたどりついた。
(日)「ここが、俺の部屋・・・」
日吉は車いすで広い部屋を回っていた。
(鳳)「日吉・・・楽しそう・・・」
(向)「日吉・・・記憶が失っていない時も、この部屋・・・好きなんじゃないかな・・・?」
(鳳)「えっ?」
(向)「・・・・なぜだろう・・・なんか、そう思っちゃった。」
(鳳)「向日さんも日吉の事好きなんですね・・」
(向)「おう、俺は、ここにいる俺の家族全員大好き!でもそれは、お前も一緒だろう!」
(鳳)「向日さん・・・」
鳳は、思った。向日さんは、いつも俺の心を、癒してくれるやな~・・・と、
(日)「鳳さん!向日さん!次は、道場に行きたいです!」
(鳳)「うん!日吉の行きたいところに行こうね!」
そして、道場は、日吉の部屋の隣にあったのですぐについた。
(日)「すごい・・・ここも広い・・」
日吉は、道場のど真ん中に車イスを持って行き、あることをやって、鳳と向日は、びっくりしていた。
(向)「おい!長太郎・・・」
(鳳)「はい!日吉は、体だけは覚えているんじゃないんですか?」
そう、日吉がやっていた。形は、手だけだけど、古武術の構えだった。
(日)「古武術ってこんな感じでしょうか・・」
(向)「ああ!日吉!そうだぜ!」
(鳳)「日吉!何で!わかったの?古武術なんてやったことないんでしょ!」
(日)「えっと、ここの臭いを嗅いでいたら・・・体が勝手に・・・」
向日と鳳は、日吉の記憶がどんどん戻っているんじゃないかと思っている。
そして、いろいろと、回って、部屋に帰った。ご飯の時間だ。
(向)「やった!ごはんだ!しかもごちそうだ!」
向日は、たくさんにご飯に目を輝かせていた。
(日)「すごい・・・」
(鳳)「日吉も好きなだけ食べてね。」
(日)「はい!」
そしてみんな、お腹が膨れるほどたくさん食べ、死ぬほど笑って、楽しんだ、みんなは、一日でも早く、日吉の記憶が戻ることを祈って・・・
そして、この調子で数か月して、日吉も車イスがはずれ、日吉も普通に歩き、日吉が先に始めたことは、古武術だった。すぐに形になっていて、みんなは、びっくりしながら、笑っていた。
(鳳)「日吉・・・凄いですね。宍戸さん」
(宍)「だな、記憶喪失とはいえ、さすが小さい頃からやっていただけあるよな。体は、覚えているんだからよ。」
鳳と宍戸は、日吉に話しかけた。
(鳳)「日吉、俺達仕事に行って来るね。」
(日)「そういば・・・俺も、仕事やっていたんですか」
(宍)「仕事は、やっていたけど・・・・」
(日)「俺は、何をやっていたんですか?」
日吉は、宍戸と一緒で普通の開所に出勤していた。跡部は、弁護士、忍足は医者、向日は、体操選手、芥川は、クリーニング屋、鳳は、ピアニスト、樺地は大工という、みんな自分なりの仕事をしているのだ。
(日)「俺も行きます!」
(宍)「でも、若・・・お前体・・・」
そういうと鳳がいきなり
(鳳)「日吉!行って来るといいよ!」
(宍)「おい!長太郎!」
宍戸は、何を言い出すんだ。みたいな顔を鳳に向けた。
(鳳)「宍戸さん、会社には、いろんな人がいます。それで、日吉も記憶喪失から少しは、戻ると、思うんですよ!」
(宍)「それもそうだな・・・」
宍戸は、なっとく言った顔で日吉に言った・
(宍)「じゃあ、若!早く着替えていこうぜぇ!」
(日)「はい!ありがとうございます!」
そして宍戸と、日吉は会社に出かけた。鳳は、ピアノの発表会で会場に出かけた。
そして会社。
(宍)「若、会社が終わったら、長太郎の演奏聞きに行こうと思うけど・・・お前は、どうする?」
(日)「演奏ですか・・・いいですね。行きたいです!」
(宍)「おう、じゃあ、行くか!」
演奏では、弁護士と医者である。跡部と忍足は、忙しくて、来れなかったが、他の人達は、仕事や練習が終わったらしく、聞きに来ていた。
ジローと向日は、完璧に演奏を聴いて十分後に寝ていた。宍戸と樺地は、しっかりと聞いていた。日吉もしっかり聞いていた。
そして演奏が終わり、みんなで帰るころ、跡部が来るまで迎えに来た。でっかい車なのでみんな乗った。日吉は、車の大きさにもびっくりした。
そして、家には、忍足が待っていた。
(向)「ただいま!」
(忍)「おう、鳳の演奏は、どうやった?」
(芥)「すごく良かったよ~!」
(鳳)「ありがとうございます。芥川さん」
(宍)「ジローと、向日は、寝ていただろうが・・・まあ、よかったけどな」
(樺)「とても、いい演奏でした。」
(日)「すごかったです。白鳥の湖が特に良かったです。」
(鳳)「ありがとうございます!宍戸さん、樺地、日吉!」
そして、ご飯でも鳳の話題になり、日吉は、部屋に戻った。鳳は、後から日吉の部屋に向かうと、日吉が何かをしていたことに気がついて、のぞいて様子を見ることにした。
(日)「今日の演奏は、凄かったです・・・・」
日吉は、日記を書いていたのだ。そこにびっくりした鳳は、日吉に話をかけた。
(鳳)「日吉、ケーキとジュース持ってきたよ。」
(日)「ありがとうございます!鳳さん」
日吉は、日記を書いていた手をやめて鳳からケーキを受け取った。そして、鳳は、何も知らない感じで、日吉に日記のことを、聞いた。
(鳳)「何?このノート?」
(日)「あっ、一日、一日、日記を書いていくことにしたんです。」
(鳳)「日記・・・?」
(日)「はい、次にまた、記憶喪失になっても、いいようにこうやって、あったことをまとめておくと、すぐに思い出すんじゃないかな~、と、思って・・・」
(鳳)「ひ・・・よし・・・・」
(日)「俺、もう、鳳さんとか向日さんとかに、迷惑かけたくないから・・・、」
鳳は、日吉が何を言っているか、わからなかった。特に迷惑の所が・・・鳳は、聞いてみた。
(鳳)「迷惑って?何で?」
(日)「俺のせいで、鳳さん自殺しようとしていた」
鳳は、これを聞いて、一粒の涙をこぼした。そうすると、鳳は、気がついた。日吉は自分より多くの涙を流していたことに・・・
(日)「ごめんなさい・・・ごめんなさい鳳さん・・・・俺のせいで、自殺を」
鳳は、自分のせいで、日吉が泣いたと、思った。鳳は、自分のせいで、心の中が傷ついていると、思った。鳳が日吉が苦しんでいるのは、すべて自分のせいだと、思ったのだ。
作品名:記憶 作家名:mai