記憶
(向)「すげ―――!ジャンプ!」
(鳳)「芥川さんたちも、呼んで来ればよかったね。」
(宍)「きっと、寝ると思うぜ!あいつは!」
(跡)「向日がたくさんいるじゃねぇか!」
周りは、笑いと拍手で、賑やかになった。そして
(猫)「日吉さん、このたびは、本当にすみません。」
(日)「いいぜ、結構楽しませてもらえたからな」
(向)「そうだぜぇ!猫!日吉の笑顔なんて、普通じゃあ、絶対に見られないからな!」
(日)「向日さん!」
向日は、「日吉が怒ったー」って、言いながら、逃げて行った。
(猫)「それでは、皆さんも、付き合ってもらっちゃって、ありがとうございました。」
(跡)「気にすることはねぇぜ!」
(忍)「そうやで、楽しませてもらったのは、俺達なんやから」
そしてみんなで、帰った。その、帰り道・・・・
(鳳)「日吉・・・・・・楽しかったね!」
(日)「そうだな・・・・・」
(鳳)「また、行きたいね!」
(日)「そうだな・・・・それじゃあ、また猫でも助けるか?」
日吉は、鳳に笑いながら言った。
(鳳)「え―――――!」
鳳は、泣きそうな顔で日吉のほうを見ていた。
(日)「冗談だよ!」
日吉は、鳳に大笑いした。
(鳳)「もう!次また、事故なんかしたら!許さないからね!記憶喪失なんてもっと許さないからね!」
(日)「はいはい!」
そして、みんなは、帰った。いつの間にか朝になっていた。だが、たくさん楽しんだ、日吉たちには、眠気なんて何一つなかった。
(芥)「お帰り―――!」
(向)「ジロ――――――!」
向日達は、芥川に、森の奥であったことを話した。部屋の中では、みんな笑っていた。
そして、三泊四日は、あっという間に終わり、家に帰ってきた。その時、鳳は、急いで、何かを取りに行った。
(宍)「あいつ・・・どこに行く気なんだ?」
(向)「さあ?」
(日)「荷物起きついでに見てきますよ。」
(宍)「ああ、頼んだぜ!若!」
(日)「はい」
鳳が、行った場所は、日吉の部屋だった。
(日)「長太郎・・・?」
(鳳)「わあ!日吉!どうしたの?」
(日)「どうしたのって・・・・ここは、俺の部屋だからな・・・・」
(鳳)「そうか!そうだよね!ごめん日吉!じゃあね!」
日吉は、後ろに隠しているものに気がついた。それは、ノートだった。
(日)「長太郎・・・・その、ノート・・・・・」
(鳳)「えっ!あっ!」
鳳は、ノートに気がつかれてびっくりした。
そう、このノートは、日吉が記憶喪失のときに書いていたノート何だ。
鳳は、それを日吉に説明した。
(日)「俺が、記憶喪失に書いていたノート・・・・」
(鳳)「うん、今日の事は、書いとかないと、と思って・・・・」
(日)「え・・・・・・・?」
(鳳)「見てみれば?」
(日)「ああ、」
日吉は、鳳に言われるままに、ノートを見てみた。
(日)「あった事、あった事、わかりやすく、まとめてある・・・・」
日吉は、なぜか、ノートを見ながら涙を流した。
(鳳)「どうしたの?日吉?」
(日)「なんでもない・・・・ただ・・・・」
(鳳)「ただ?」
(日)「長太郎・・・・すまなかったな・・・」
(鳳)「えっ?何で?」
日吉は、ノートを鳳にも見せた。
(鳳)「・・・・・・・日吉・・・」
鳳が見たものは、最後のページだった。内容は、「鳳さんに迷惑をかけたこと」だった。ノートには、いろんなことが書かれていた。「俺は、今日事故をしたらしい、その時鳳さんという人が、俺のために死のうとしてくれたらしい・・・ごめんなさい鳳さん」とか、「今日は、俺の一言で鳳さんが熱を出してしまった。また俺のせいで、鳳さんを傷つけてしまった。ごめんなさい鳳さん・・・」などが、書かれていた。
(日)「ご・・・ごめん・・・・長太郎・・・」
鳳は、日吉に連れて、一緒に号泣した。
(鳳)「日吉!俺、さびしかった。」
(日)「長太郎・・・?」
(鳳)「おれ、日吉が、記憶喪失になって、何日か経ったときに、思っちゃったの!「早く戻れ!」って、ごめん!ごめん日吉!」
(日)「何で、お前が謝るんだよ!」
(鳳)「俺は、馬鹿だった!日吉の記憶を治そうと、頑張っているつもりがいつの間にか、記憶喪失の日吉を傷つけていた。早く、普通の日吉に戻ってほしくて!でも、それじゃあ、記憶喪失の日吉は。かわいそうだよね!日吉は日吉なのに、俺は、日吉を差別していたんだ!」
(日)「ちょう・・・たろう・・・・」
(鳳)「日吉!ごめん!ごめんね!日吉!」
(日)「長太郎!」
(鳳)「記憶喪失の日吉は、こんなにも、俺が傷ついたか、どうかを、心に傷を増やしながら、ノートに日記を書いていたのに!俺は、俺の事ばかりで、記憶喪失の日吉を傷つけながらも、自分の事しか考えていなかった!」
(日)「長太郎!」
(鳳)「日吉・・・・」
(日)「もういい!もういいよ!長太郎!」
(鳳)「日吉・・・ごめんね・・・」
(日)「長太郎・・・・お願いがあるんだけど・・・・いいか?」
(鳳)「な・・・に・・・?」
日吉は、鳳にさっきのノートを差し出した。
(日)「この、ノートを預かっていて、ほしいんだ」
(鳳)「何・・・で?」
(日)「俺の記憶を、守っていてほしい・・・・長太郎に・・・・」
(鳳)「俺にこのノートを持つ資格なんてないよ!」
(日)「お願いだ!長太郎・・・」
(鳳)「でも・・・なんで・・?」
(日)「記憶喪失の俺が、きっと持っていてほしいと思っていると思うから・・・」
(鳳)「そんなわけない!俺は、記憶喪失の日吉を!傷つけていたんだよ!」
(日)「それは、ないと思うぞ!」
(鳳)「えっ!」
(日)「お前、最後まで読んだか?」
(鳳)「最後・・・・?」
そこには、「ありがとう」と、かかれてあった。
(日)「多分、このありがとうって、長太郎に言っているんだと思うんだけど」
(鳳)「何で・・・傷つけた俺に「ありがとう」なんか・・・・」
(日)「この、「ありがとう」の意味はさ・・・・」
(鳳)「意味は・・・・?」
(日)「一緒にいてくれて、ありがとう・・・・だと、思うぞ!」
(鳳)「一緒に・・・・」
鳳は、また号泣した。
(鳳)「うわ―――――!」
(日)「長太郎・・・・」
ドアの向こう側では、みんなが見ていた。向日や芥川は涙も流していた。
(跡)「記憶喪失の日吉は、鳳がいてくれたおかげで、記憶を取り戻したのかもしれないな・・・」
(忍)「あの日記には、凄い思いが込められていそうや」
(宍)「こりゃ!泣くわ!」
(樺)「ウス!」
(芥)「日吉~!」
(向)「長太郎~!」
そして、部屋の中では、
(日)「長太郎・・・このノート受け取ってくれるか?」
(鳳)「うん!日吉の記憶は、俺が守るよ!いつまでも!ずっと!」
(日)「恥ずかしいやつ!」
(鳳)「えへへ」
俺の記憶は、長太郎に預けた。預けただけじゃない、あげたのかもしれない・・・でも、俺は、長太郎は、ずっと大切にしてくれると信じている。記憶喪失の記憶は、ないけど、俺が記憶喪失のときも長太郎が俺の事を思っていてくれたことが、わかった。それは、とてもうれしかった。
今までいてくれて、ありがとう。そしてこれからもよろしく!by日吉