ミニ☆ドラ
(ハリーが喜ぶことだったら、どんな望みでも叶えてあげたいけど……)
銀のフォークの上に座り、大きすぎるオレンジの塊をかじりながら、ため息をついた。
(――ハリーが本当に望んでいることって、何だろう?難しいことかな?ややこしい呪文が必要なのかもしれないなぁ。複雑な薬品の調合で出来る魔法薬かもしれない。とてつもなく大きい品物かもしれないし……。僕はハリーの望みを本当に叶えられるんだろうか?――いつも出来損ないで、誰からも相手にされなかった僕に……)
ポトリポトリとオレンジからしたたり落ちた滴が、皿に小さな水溜りを作っていく。
うつむくとその水面には不安そうな自分の顔が映り、ゆらゆらと揺れていたのだった。